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北韓へのビラ散布禁止法、米が懸念表明

今週のキーワード2020-12-26

ⓒYONHAP News

文在寅政権と与党が北韓に向けたビラ散布を禁じる法律を成立させたことについて、アメリカ国務省は「表現の自由を侵すものだ」として懸念を表明しました。

与党「共に民主党」は今月14日、国会で北韓に向けたビラ散布を禁止する「南北関係発展に関する法律」改正案を野党の反対を押し切って採決し成立させました。

この改正は、大型風船などを使った北韓へのビラ散布だけでなく、金銭やUSBメモリーも対象となり、これに違反すれば3年以下の懲役または3000万ウォン、およそ280万円以下の罰金が科されます。

アメリカ国務省は、北韓に向けたビラ散布の禁止などを盛り込んだ「南北関係発展法」の改正案が可決されたことについて、「われわれは人権と基本的な自由の保護を支持する。北韓への自由な情報の流入は継続されるべきだ」とする立場を示し、法改正に懸念を示しました。

北韓は6月、韓国の脱北者団体が北韓に向けて体制を批判するビラを散布したことに強く反発し、金正恩国務委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長は談話を発表して軍事的措置をも辞さないと韓国に対して警告しました。

北韓はその後、開城にある南北共同連絡事務所を爆破し、ビラ散布を継続すれば、ビラ散布の拠点を攻撃すると警告しました。

このため韓国政府は韓国にいる脱北者の団体に対してビラ散布の自制を求め、警察がビラ散布を制限するなどしましたが、ビラ散布を完全に遮断することはできませんでした。

北韓がビラ散布の拠点を攻撃すると警告したことから、脱北者団体がビラを飛ばしていた休戦ライン付近の住民からは不安の声が高まっていました。

韓国政府は、何よりも休戦ライン付近の住民の安全を確保することが優先だとする立場をとっています。

韓国政府は、法改正について、表現の自由を制限したり、北韓への自由な情報流入を遮断することが目的ではなく、休戦ライン付近の住民の安全を確保することを優先したものだと説明しています。

韓国外交部は、「南北関係発展法」について幅広い理解を求めるため、アメリカ側に改正法の本来の趣旨を説明していきたいとしていますが、来年1月に発足するアメリカのバイデン新政権は、人権問題を重視する姿勢を打ち出していて、今回の法改正が北韓問題をめぐる韓米間の連携に影響を及ぼすのではないかとする懸念も出ています。

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