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北韓軍兵士が韓国人男性を射殺

今週のキーワード2020-10-03

ⓒKBS News

北韓軍が韓国人男性を海上で射殺し、遺体を焼却する事件が発生しました。

韓国国防部は24日、韓国人男性が韓半島西の延坪島沖で行方不明になったあと、北韓軍兵士によって射殺され、遺体が焼かれたと発表し、北韓による「蛮行」だと非難しました。

射殺された男性は違法操業を取締る海洋水産部の漁業指導船の乗組員で、南北軍事境界線付近の海域で漁業指導船からいなくなりました。

男性が漁業指導船からいなくなったことが確認されたのは9月21日午前11時30分でした。

男性が昼食の時間に姿を現さなかったため、同僚の乗務員らが船内を捜索し、行方不明になっていることが確認されました。

午後12時15分に海洋警察に失踪届けが出され、海洋警察と海軍が捜索を始めましたが、その日は見つからず、翌日22日の午後3時30分ごろ、海洋警察は男性が北韓側の海域にいることを確認しました。

海洋警察によりますと、北韓の漁船が浮遊物につかまって漂流している男性を最初に発見し、続いて北韓軍の警備艇が現場に到着し、防護服を着用した北軍軍兵士が男性を射殺したということです。

北韓軍兵士は男性を射殺したあと、遺体を焼いたということです。

韓国国防部は男性が行方不明になってから2日後の23日午後1時30分に男性が行方不明であることを発表しました。

翌24日には男性が北韓軍兵士によって射殺され、遺体が焼かれたと発表し、すべての責任は北韓あると厳重に抗議しました。

一方、北韓は今回の事件について事件の経緯を説明する通知文を送ってきました。

韓国政府が事件の経緯の説明を求めた翌日の25日、北韓は労働党統一戦線部名義の通知文を韓国側に送ってきましたが、金正恩国務委員長は通知文の中で、「予想外の恥ずべきことが起き、文在寅大統領と南の同胞を大きく失望させたことについて非常に申し訳なく思う」と表明しました。

金正恩国務委員長は通知文で、「非常に申し訳なく思う」という表現を2度も使いました。

北韓の最高指導者が直接謝罪するのは極めて異例です。

通知文には、金正恩委員長の謝罪とともに、北韓指導部による再発防止策も盛り込まれていましたが、「こうした遺憾な事件によって近ごろ積み上げてきた信頼と尊重の関係が崩れることのないよう、より緊張し、必要な安全対策を講じる」としてます。

ただ、事件の経緯については、韓国側の発表と食い違いがあり、北韓側は通知文で男性が身分確認に応じず逃げようとしたため射殺したとして、射殺したことは認めましたが、遺体を焼いた事実はなく、浮遊物を焼いただけだと主張しました。

韓国政府は、遺体を焼いたかどうかなどについて双方の言い分に食い違いがあることから、「調査を継続し、事実関係を究明していく」との方針を示し、必要な場合は北韓に共同調査の実施を要求するとしています。

また、再発防止のため、軍事境界線付近の海域での警戒態勢を強化する方針も決定しました。

今回の事件で韓国では北韓に対する世論が急速に悪化しています。

金正恩委員長が謝罪したことで最悪の事態は回避することになりましたが、民間人が射殺されるまで韓国政府と軍が積極的な対応措置を取らなかったとする批判が出ています。

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