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W杯予選、平壌でサッカーの南北戦

今週のキーワード2019-10-19

ⓒYONHAP News

サッカーの2022年ワールドカップ・アジア2次予選の韓国-北韓戦が15日、平壌の金日成(キム・イルソン)競技場で行われました。

結果は0-0の引き分けでした。

サッカー男子の南北対戦が平壌で行われたのは1990年10月の親善試合「南北統一サッカー」以来、29年ぶりでした。

この試合、北韓側は韓国側の報道陣や応援団の受け入れを拒否しました。

韓国側は報道陣や応援団の受け入れを求め続けましたが、北韓側は最後まで明確な回答をせず、結局は実現しませんでした。

北韓側は試合のテレビ中継にも応じませんでした。

サッカーファンは、アジア・サッカー連盟(AFC)を通じてネットで伝えられる「文字中継」によって試合のもようを推察するしかありませんでした。

この試合のもう一つの特徴は観客が全くいなかったことです。

金日成競技場は5万人を収容できます。

韓国の選手団は数万人の北韓側観客が自国チームを応援するアウェーの対戦を覚悟していましたが、客席は静まり返っていました。

北韓側は一般住民はもちろん、外国人観光客の観戦さえも認めず、客席に人影は見当たりませんでした。

試合を観戦した国際サッカー連盟のインファンティノ会長は、「観客が1人もいなかった。がっかりした」としたうえで、テレビ中継が実現せず、海外メディアが平壌に入れなかったことについて、「報道の自由と言論の自由は最優先事項だ。これらの問題を協会に提起した」と語り、国際サッカー連盟がこの問題について北韓に働きかけることを約束しました。

この試合、北韓側選手らはラフプレーが多く、荒れた試合となったということです。

帰国した選手団は、「今回の試合はまるで戦争のようだった」「試合中に思い出したくもない『ひどい暴言』を何度も聞いた」と明らかにしました。

韓国代表のエース、孫興慜(ソン・フンミン)選手は帰国後、「試合中に身体で押し合い、へし合うフィジカル・コンタクトは付き物だが、北韓側選手の動きはかなり荒かった」としたうえで、「勝ち点を獲得できなかったのは残念だが、選手たちが怪我をすることなく無事に試合を終えることができただけでも幸いだ」と語りました。

また、「サッカーに集中するよりは、怪我をしないように最大限に注意するほどだった」と語りました。

文在寅大統領は2032年オリンピックの南北共同誘致を掲げていますが、「こんな北韓とどうやってオリンピック共催を進めることができるのか」と疑問を呈する声さえ出ています。

29年ぶりに平壌で行われたサッカーの南北戦は、観客の熱い声援もなく、南北関係の冷え込みを象徴する前代未聞の試合となりました。

報道陣も観客もいない、テレビ中継もされなかったこの試合について、イギリスのBBCは「世界で最も奇妙なサッカーダービー」と表現するなど、世界のメディアは「ありえない」「世にもまれ」「荒唐無稽」などといった言葉でこの試合を表現しました。

試合の結果、韓国と北韓は勝ち点「7」で並びましたが、得失点差で韓国が勝り、

グループHの首位に立っています。

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