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鉄道・道路連結、板門駅で着手式

今週のキーワード2018-12-30

ⓒKBS News

韓国と北韓は26日、南北首脳会談の合意に基づく南北の鉄道および道路の連結に向けた着手式を軍事境界線北側の開城の板門駅で開きました。

韓国から金賢美(キム・ヒョンミ)国土交通部長官や趙明均(チョ・ミョンギュン)統一部長官らが出席、北韓からは祖国平和統一委員会の李善権(リ・ソングォン)委員長や民族経済協力委員会の方剛秀(パン・ガンス)委員長らが出席しました。

着手式には開城出身の離散家族も出席しました。

文在寅大統領は「東アジア鉄道共同体構想」を掲げていて、中国、ロシア、モンゴルの交通行政の高官や国連機関の幹部も招請されました。

韓国側出席者およそ100人は、9両編成の特別列車で早朝にソウル駅を出発、軍事境界線南側の都羅山駅を経て、午前8時半過ぎに軍事境界線を越えて、板門駅に到着しました。

着手式では、金賢美国土交通部長官と北韓の金潤革(キム・ユンヒョク)鉄道省次官があいさつし、金賢美国土交通部長官は「着手式が分断による対立の時代を終わらるための大きな一歩になることを期待する」と述べ、北韓の金潤革鉄道省次官は「連結事業の進展はわれら同胞の精神力と意志にかかっている」と強調しました。

あいさつのあと、線路の枕木の署名式や軌道締結式、道路標示板の除幕式が行われました。

鉄道と道路の連結は南北経済協力事業の一つで、4月の南北首脳会談で合意し、板門店宣言に明記されました。

また、9月の南北首脳会談では着手式を年内に開催することでも合意しました。

連結するのは、ソウルから北韓の開城と平壌、新義州に至る韓半島西側の京義線と、韓半島東側を縦断する東海線の鉄道と道路です。

京義線は中国の鉄道、東海線はロシアの鉄道と連結することで、アジア大陸を横断する鉄道が完成すれば、文在寅大統領が掲げている「東アジア鉄道共同体」が実現することになります。

京義線はソウルから北韓の新義州まで518キロの区間で、鉄道はすでに連結されていますが、北韓側は大部分の区間で老朽化が進んでいて大規模な補修工事が必要な状況です。

東海線は韓国の釜山から北韓の元山までの東海岸沿いの区間で、植民地時代に建設が始まりましたが、日本の敗戦で建設は中断され、途絶えたままになっています。

東海線は南北を連結するだけでなく、南北双方の複数の区間を連結する必要があります。

南北首脳会談の合意に基づいて着手式が開かれましたが、実際に工事が始まるわけではありません。

実際に工事を進めるためには国連などの経済制裁が障壁となります。

必要な資材を北韓側に搬入しなければなりませんが、制裁が続いてる状況では不可能です。

鉄道および道路連結のための南北合同調査や着手式は制裁の対象外と認められましたが、非核化をめぐる米朝交渉は停滞し、目立った進展がなく、アメリカは今後も制裁を続ける意思を表明していて、実際に工事が始まるまでには時間がかかりそうです。

韓国の金賢美国土交通部長官は着手式のあと、「設計だけでも1~2年はかかる」と述べ、事業の長期化を示唆しました。

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