ニュース

韓半島 A to Z

論点

2018 韓国国防白書

今週のキーワード2019-01-20

ⓒYONHAP News

韓国国防部は15日、国防政策の概要をまとめた国防白書を発表しました。

国防白書は隔年で発表していて、文在寅政権では初めて発表される国防白書です。

今回発表された国防白書では、前回2016年版にあった「北韓の政権と軍は我々の敵である」という記述が削除されました。

それに代わって、「主権と領土、国民、財産を威嚇して侵害する勢力を敵と見なす」とする記述が新たに盛り込まれました。

「敵」の概念をより包括的かつ広範に捉え、北韓を「敵」と特定付けることを避けたものです。

標的の特定または標的の破壊を意味する「キルチェーン」や、核攻撃の兆候がある場合に北韓の戦争指揮部を集中的に攻撃するという意味の「大量反撃報復概念」といった表現も削除されました。

一方で、昨年の軍事分野での南北合意について、「南北間の緊張緩和と信頼構築の基盤ができた」と評価しました。

こうした変化は、昨年の南北首脳会談後の緊張緩和に向けた動きを反映したものと受け止められています。

ただ、北韓の大量破壊兵器については、北韓は核兵器を製造できるプルトニウム50キロ余りを保有しており、高濃縮ウランも相当量保有しているとして、前回2016年版と同じく記述しました。

また、「北韓の大量破壊兵器は韓半島の平和と安定の脅威だ」と指摘し、「徹底的に備えていく」とも記述しました。

一方、日本については、これまでの国防白書で「自由民主主義と市場経済の基本価値を共有している」としていた表現が削除され、「地理的、文化的に近い隣国で、世界平和と繁栄のために協力していくべきパートナー」とだけ表記されました。

また、周辺国との交流・協力については、前回は日本、中国、ロシアの順番で記述していましたが、今回は中国、日本、ロシアの順番に改められました。

今回の国防白書では、北韓の核やミサイルの脅威に対して日本と協力するとの記述もなくなりました。

一方、日本政府はこれより先の2015年の外交青書で、韓日関係についてそれまで使用してきた「自由と民主主義、市場経済の基本的な価値を共有する」との表現を削除しました。

また外務省のホームページでも韓国との関係を「基本的価値の共有」を削除し「最も重要な隣国」に改めましたが、去年はこれすら削除しています。

結局、双方は共に、「自由と民主主義、市場経済の基本価値を共有している」という記述を削除したことになります。

日本は2018年に発表した「防衛計画の大綱」で、安全保障面で協力を進める国として、アメリカ、オーストラリア、インド、東南アジアの次に韓国を挙げました。

2010年と2013年に発表した「防衛計画の大綱」ではアメリカの次が韓国でした。

新着ニュース