ミサイル発射場で施設復旧の動き
北韓北西部・東倉里(トンチャンリ)のミサイル発射場で施設の一部を復旧する動きが把握され、関心が寄せられています。
韓国の情報機関、国家情報院の関係者は5日の国会情報委員会懇談会で、「東倉里のミサイル発射場で撤去した施設の一部を復旧する動きが把握され、付近のミサイル総合研究団地でも活発な動きが確認された」と報告しました。
アメリカに拠点を置く北韓分析サイト「38ノース」は、今月6日に撮影された衛星写真からは、発射場は通常の運用が可能な状態にまで復旧したと発表しました。
国家情報院はこうした動きについて、アメリカに屈しないとの決意を示すことでアメリカをけん制している可能性があるとしました。
北韓はこの施設を「西海衛星発射場」と呼んでいますが、ここではかつて大陸間弾道ミサイルの試験発射が行われました。
韓国国防部の関係者は、北韓の動きを注意深く見守っているとしたうえで、韓国とアメリカの軍および情報当局が緊密に連携していると強調しました。
東倉里のミサイル発射場は、昨年9月の南北首脳会談で、金正恩国務委員長が永久的に廃棄すると約束した施設で、昨年ミサイルのエンジン試験台の解体作業を始めました。
2回目の米朝首脳会談が合意に至らないまま終わったあと、アメリカと北韓による相互牽制が続いています。
アメリカのポンペイオ国務長官は4日、アイオワ州での会合で、「核を放棄することが北韓が自らの安全を確保する唯一の方法だ」としたうえで、「数週間以内に平壌に代表団を派遣することを期待している」と語り、北韓との協議再開に意欲を示しました。
一方、ボルトン大統領補佐官は5日、メディアのインタビューで、「北韓が非核化するつもりがないなら、制裁の強化を検討することになるだろう」と語り、北韓をけん制しました。
一方で、北韓の国営朝鮮中央通信は5日、金正恩国務委員長が2回目の米朝首脳会談とベトナム訪問を成功裏に終えて帰国したとしたうえで、金正恩委員長はトランプ大統領と「再び会って交渉を続けると約束した」と報じました。
ただ、北韓外務省の崔善姫(チェ・ソンヒ)次官は記者会見で、「金正恩委員長は『非核化に対する相応の措置がなければ「新たな道」を模索せざるを得ないと述べた』」として、アメリカをけん制しました。
アメリカと北韓は共に「協議再開」をほのめかしながらも、一方では相手をけん制する、両面作戦を展開しています。
協議を再開した場合、より優位な立場を確保する狙いがあるとみられます。
トランプ大統領は6日と7日、ホワイトハウスで、東倉里のミサイル発射場で施設の一部を復旧する動きが把握されたことについて、「事実なら金委員長にとても失望するだろう」と語り、金正恩委員長への懸念を表明しました。
そして「状況を見守りたい。1年以内にみなさんに知らせる」と話し、とりあえず、北韓の動向を見守るとの慎重な姿勢を示しました。
これについてAP通信は「北韓との交渉が長期化することをトランプ大統領が示唆した」ものと分析しました。
こうした状況が長く続くのは望ましくありません。
神経戦が長期化すれば、双方の意図とは関係ない方向へ事態が動く可能性もあるからです。