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南北融和ムード高まる

今週のキーワード2018-05-06
南北融和ムード高まる

4月27日の南北首脳会談で採択された「板門店宣言」には、完全な非核化を目標として努力をすること、休戦協定を平和協定に転換すること、南北共同連絡事務所を北韓の開城に設置すること、一切の敵対行為を全面的に中止することなどの合意が盛り込まれました。
会談後、板門店宣言の合意事項が着々と実行に移されています。
韓国国防部は1日、板門店宣言を受けた措置として、軍事境界線一帯にある北韓向け宣伝放送用の拡声機を撤去しました。
宣伝放送は北韓に向けて、北韓の体制批判やKポップのヒット曲などを流すものです。
北韓も軍事境界線一帯で韓国を批判する同様の宣伝放送を行っていました。
板門店宣言では、1日から軍事境界線一帯で宣伝放送やビラの散布を含む一切の敵対行為を全面的に中止することにしました。
韓国国防部の関係者によりますと、北韓側でも拡声器の撤去が行われたということです。
韓国側は首脳会談前の4月23日に宣伝放送の中断を発表、北韓側も放送を中断していましたが、5月に入ってから拡声器の撤去を始めたものです。
一方、北韓の国営朝鮮中央通信は5日、北韓の国会に相当する最高人民会議常任委員会で、標準時を5月5日から30分早め、変更した2015年以前の韓国と同じ時間に戻す政令に基づいて5日午前0時から標準時の「平壌時間」を30分早めたことを明らかにしました。
標準時の変更は、金正恩国務委員長が文在寅大統領に提案し、合意したものです。
朝鮮中央通信は、金正恩国務委員長が「会談場に平壌時間とソウル時間を示す時計が別々に掛けられたのを目にして胸が痛んだ」と述べ、和解に向けた最初の実行措置として標準時の統一を提案したとしました。
北韓は1948年の建国以来、韓国と同じ標準時を使用してきましたが、植民地支配からの解放70年の2015年8月15日から平壌時間を採用することにし、それから韓国の標準時と30分の時差がありました。
北韓は当時、従来の標準時は日本統治時代の1912年1月1日に日本の標準時と同じにするために導入されたものだとして、民族の自主性を取り戻すために独自の標準時を使用することにしたとしました。
拡声器の撤去や標準時の変更は大きな制約を伴うものではなく、合意を実行するのはさほど難しいことではありません。
とはいえ、南北が首脳会談の合意を速やかに実行に移したことは、今後とも合意を実行に移していくとの考えを反映したもので、重要な意義があります。
非核化の具体的な措置については米朝首脳会談で談判することになるでしょうが、米朝首脳会談の結果によっては、高位級会談や赤十字会談などの当局間協議の再開、南北共同連絡事務所の設置、鉄道や道路の南北連結事業の推進など、板門店宣言に盛り込まれた南北交流と関連した合意事項が着々と実行に移されていく可能性もあります。
ただ、北韓に対する制裁が続いている状況では南北交流を活性化するのは難しく、米朝首脳会談でどういった具体的な措置に合意するのかに関心が寄せられています。

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