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「平壌共同宣言」 米朝協議に弾みか

今週のキーワード2018-09-23

ⓒYONHAP News

文在寅大統領と金正恩国務委員長による3回目の南北首脳会談が18~20日に平壌で開かれ、両首脳は会談を終えたあと、「平壌共同宣言」を発表しました。

平壌共同宣言には非核化や平和定着に向けた合意が盛り込まれ、板門店宣言の合意をさらに具体化したと評されています。

平壌共同宣言は第5項で「韓半島を核兵器と核の脅威がない平和の地にしなければならず、そのために実質的な進展を実現させていくことが必要だということで認識が一致した」と明記し、金正恩委員長が自らの声で初めて「非核化」に言及しました。

今回の首脳会談では「非核化」のための方策について協議したことも重要な成果と評されています。

平壌共同宣言には、アメリカに届くICBM=大陸間弾道ミサイルの発射場である東倉里(トンチャンリ)のミサイル関連施設を関係国の専門家が立ち会う中で廃棄するとの内容が盛り込まれましたが、これは非核化の過程で関係国による検証を受け入れる姿勢を明確にしたもので、少なくない意味があります。

平壌共同宣言には、「アメリカの行動次第」という条件付きではありながらも、寧辺(ヨンビョン)の核施設を廃棄するとの内容も盛り込まれました。

南北間の軍事的緊張緩和に向けた合意も注目されています。

今回の首脳会談では、敵対行為の全面中止やいかなる場合でも武力を使用しないとする内容を盛り込んだ「軍事分野合意書」が付属合意書として採択されました。

これは、事実上の終戦宣言、平和宣言とも受け止められています。

平壌共同宣言には、金正恩委員長が近くソウルを訪問するとの内容も盛り込まれ、関心が寄せられています。

金正恩委員長はソウル訪問を約束しました。

実現すれば北韓の最高指導者としては初めての韓国訪問となり、南北関係改善に向けた重要な転機になるでしょう。

一方、アメリカは今回の首脳会談を歓迎しました。

アメリカのトランプ大統領は19日、ホワイトハウスで記者団に対して、「とても良いニュースだ」と述べ、3日前に金正恩委員長から「素晴らしい手紙」を受け取ったと明らかにし、金正恩委員長との間で良好な関係を築いていると強調しました。

また、ポンペイオ国務長官は19日声明を発表、南北首脳が「韓半島の完全な非核化」を再確認したことを歓迎しました。

そのうえで、アメリカは「米朝関係の転換」に向けた交渉を直ちに再開する用意があると強調し、北韓の李容浩(リ・ヨンホ)外相との会談を提案したほか、オーストリアのウィーンでビーガン北韓担当特別代表と北韓代表団による実務協議を「早い時期」に行うことも提案しました。

閣僚級と実務レベルの協議が同時に進むことになり、米朝間の非核化交渉に弾みがつくものとみられます。

文大統領は、国連総会が開かれているニューヨークで現地時間24日にトランプ大統領と会談し、南北首脳会談の結果について説明し、米朝間の交渉を促すとみられます。

会談では、南北首脳が共同宣言や記者会見で公開していない、北韓からアメリカへのメッセージが伝えられる可能性が高いとされます。

文大統領は20日夕方、ソウルに戻って記者会見に臨み、韓国戦争の終戦宣言について、「年内の終戦宣言を目指している」と明らかにしました。

文大統領は、「終戦宣言は敵対関係を終息させるという政治的な宣言」とし、平和協定締結に向けた平和交渉の出発点で、北韓が完全な非核化を行ったときに平和協定を締結すると説明しました。

また、平和協定が結ばれるまでこれまでの休戦体制は維持されるため、国連軍司令部の地位や韓国駐留アメリカ軍の駐留の必要性などには全く影響がないとの認識を示しました。

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