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漢江河口で南北が合同調査開始

今週のキーワード2018-11-11

ⓒKBS News

韓国と北韓は5日、南北が対峙している漢江(ハンガン)河口の共同利用に向けた合同調査を開始しました。

韓国国防部によりますと、南北の合同調査団はこの日、漢江河口で韓国側調査船に乗船し、今後の調査計画などについて協議したあと、調査を開始しました。

漢江河口の共同利用に向けた合同調査は停戦後初めてです。

合同調査団は南北の軍関係者や水路専門家で構成されました。

年末までに調査を終え、来年1月までに海図を製作することにしています。

音波で水深を測定するほか、干満の差による変化も調査し、船舶が安全に航行できる水路を探すことになります。

韓国と北韓は9月の軍事分野合意書で漢江と臨津江(イムジンガン)河口の共同利用に向けて合同調査を実施することにし、10月26日の南北将官級会談で今月初めから調査を開始することを決めました。

共同水域は、北韓側から流れてくる臨津江が漢江下流で合流し、西の海、西海に流れ込む一帯です。

軍事分野合意書で設定した調査対象水域は、延長70キロ、280平方キロメートルの水域です。

もともと共同水域は休戦協定で南北双方の民間船舶が自由に航行できると定められています。

しかし、民間船舶の航行は事実上制限されています。

漢江河口は国連軍が中立水域を設けて管理していますが、南北が至近距離で対峙している水域ということもあって、安全のため民間船舶の航行を統制しています。

漢江河口付近は明確な軍事境界線がなく、いつでも偶発的な武力衝突が起きる可能性があるためです。

合同調査が進められ、漢江河口の水域で民間船舶の航行が可能になれば、いろいろな波及効果が期待されます。

まず、軍事的緊張が大きく緩和され、文字通り共同水域としての本来の姿を取り戻すことになります。

次に、砂や砂利などの建設用骨材の採取が可能になり、少なくない経済効果が期待されます。

また、水害予防などの効果も期待できます。

韓国と北韓は2007年の南北首脳会談で、漢江と臨津江河口の骨材採取など、共同利用に合意しましたが、南北関係が冷え込んだことから共同利用は実現しませんでした。

南北が対峙していることから漢江河口はほとんど手付かずの状態で、建設用骨材が多く放置されています。

韓国側調査機関の2008年の報告書を見ますと、漢江河口の3カ所で16億1000万トンの骨材を採取すれば、およそ13兆ウォンの収益が期待されるとしています。

漢江河口で骨材の採取が可能になれば、首都圏の慢性的な骨材不足を解消することも可能です。

骨材を採取することで水深が深くなれば、船舶はより安全に航行できますし、水害予防にもつながります。

夏場は集中豪雨などで臨津江の水位が急激に上がり、韓国側に被害を及ぼすことがしばしばありますが、臨津江は北韓側から流れ込んでくることから、対策を講じることが事実上不可能でした。

このほかにも、南北が共同で観光事業や生態系保全事業を進めることも可能になります。

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