ニュース

韓半島 A to Z

論点

北韓で拘束の米国人大学生、帰国後に死亡

今週のキーワード2017-06-25
北韓で拘束の米国人大学生、帰国後に死亡

北韓で1年半以上拘束された末、昏睡状態で13日に帰国したアメリカ人大学生オットー・ワームビア氏が19日、オハイオ州シンシナティの病院で死亡しました。
この大学生は2015年12月末に観光目的で北韓に入国、2016年1月に平壌のホテルにあった政治的スローガンが書かれた物を盗んだとして、3月に国家転覆陰謀罪で15年の労働教化刑の判決を言い渡され、労働教化所に収容されました。
裁判のあと、昏睡状態に陥ったとされています。
アメリカはこの大学生が拘束されたあと、平壌のスウェーデン領事館を通じて面談を要求しましたが、北韓は拒否していました。
健康状態の悪化を知ったアメリカは今月12日に北韓担当特別代表を平壌に派遣し、解放を要求、13日に帰国したものです。
大学生は17カ月間北韓に抑留されていました。
北韓は、この大学生がボツリヌス中毒になり、睡眠薬を服用したあと、昏睡状態になったと主張し、「人道主義的見地から送還した」と説明しています。
ただ、大学生の帰国後に治療に当たった医師団は、ボツリヌス中毒を示す症状はなかったとしたうえで、「大部分の脳細胞が損傷し、呼びかけに応じず、話すことができない状態」としました。
精密検査では外傷の痕は見られず、原因は不明だということです。
大学生が「脳に重度の損傷」を負い、昏睡状態で帰国すると、アメリカでは北韓への批判が高まっています。
アメリカでは北韓を渡航禁止国家に指定すべきだとの声も出ています。
大学生の父親は会見で、「息子は北韓であまりにも残酷な扱いを受けた。息子の状態を隠し、高度な治療を受けさせなかった」として、北韓を非難しました。
トランプ大統領は声明で「アメリカは北韓の残虐性を非難する」としました。
ティラーソン国務長官は、「不当に拘束した責任を北韓に取らせる」と警告しました。
アメリカは今後、北韓への圧力をさらに強めるものと見られます。
北韓では今も3人のアメリカ人が拘束されており、韓国人6人、カナダ人1人も拘束されています。
文在寅大統領は20日、ワームビア氏の家族に「心からお悔やみ申し上げる」というメッセージを送るとともに、海外メディアとのインタビューで、北韓を「非理性的、非合理的な国だ」と厳しく非難しました。
一方で、文在寅大統領は核問題解決のため北韓との対話の必要性を指摘しており、現地時間の30日に開かれる韓米首脳会談でトランプ大統領とどのような意見交換が行われるかに関心が集まっています。

新着ニュース