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北韓リスクにゆれる市場 

今週のキーワード2017-08-20
北韓リスクにゆれる市場 

世界の金融市場が北韓リスクに揺れています。
経済・金融情報を配信するアメリカのブルームバーグ通信のまとめによりますと、11日の終値基準で世界株の時価総額は78兆300億ドルでした。
8日の時価総額79兆5000億ドルからわずか3日で1兆4700億ドル、1.8%も減りました。
アメリカのトランプ大統領は8日、大陸間弾道ミサイルの発射実験を続ける北韓に対して、「世界が見たこともないような炎と怒りに直面するだろう」と威嚇しました。
これに対して、北韓は翌9日、「アメリカ領のグアムを包囲射撃する作戦計画を慎重に検討する」として、一段と挑発を強めました。
核やミサイルの開発をめぐって、アメリカと北韓の相互威嚇の応酬がエスカレートすると、世界の金融市場では株価が急落し、ドル安が進むなどしました。
最も大きな影響があったのは韓国の株式市場でした。
韓国の株式市場では9日から11日まで、時価総額は1兆5232億ドルから1兆4555億ドルに、3日間で677億ドル、4.4%も減りました。
韓国株の時価総額が世界株の時価総額に占める割合は7月末には2%を上回っていましたが、11日の時点では1.86%に減っています。
11日の総合株価指数は2319.71で、今月1日の2422.96から103.25ポイント、4.26%下がりました。
総合株価指数が下がったのは外国人投資家が売りに転じたことによるものです。
外国人投資家は11日、6500億ウォン余りを売り越しました。
これは最近2年間で最大の売り越し額です。
アメリカのマティス国防長官とティラーソン国務長官は、14日付けのウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿で、北韓に対して、核実験やミサイル発射などの挑発行為を直ちに停止すれば、交渉する用意があると明らかにし、一方、北韓の国営メディアは15日、金正恩労働党委員長が軍の司令官からアメリカ領のグアム周辺に向けた弾道ミサイルの発射計画について報告を受けた席で、「アメリカの行動をもう少し見守る」と語ったと伝えました。
こうした動きを受けて、株式市場では安定を取り戻す動きも見られ、17日には外国人投資家が6営業日ぶりに買いに転じ、前の日のニューヨーク市場の上昇もあって、総合株価指数は2360台に回復しました。
ただ、市場では「軍事衝突はあり得ない」との見方がある一方で、「先行きが見通せない」との声も根強く、当分は北韓リスクが続きそうです。
韓国企画財政部の金東兗(キム・ドンヨン)長官は14日、北韓による挑発や米朝関係の緊迫化について、「金融市場はこれまでになく深刻に受け止めている」と指摘し、「ごく小さな衝撃で市場の変動が拡大する可能性も排除できない」と述べ、懸念を表明しました。
そのうえで、「金融市場の動きを綿密に見守り、リスク管理に万全を期する」としました。

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