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新たな制裁決議 全会一致で採択

今週のキーワード2017-09-17
新たな制裁決議 全会一致で採択

北韓が今月3日に6回目の核実験を強行したことを受けて、国連の安全保障理事会では日本時間の12日午前7時すぎ、北韓に対する新たな制裁決議が全会一致で採択されました。
中国やロシアも賛同しました。
核実験から1週間余りで制裁決議が採択されたのは異例です。
異例の速さで新たな制裁決議が採択されたのは、北韓の核開発を決して認めないという国際社会の厳重な警告と受け止められています。
国連の安全保障理事会で北韓への制裁決議が採択されたのはことしに入ってから3回目で、通算9回目です。
新たな決議は、北韓への原油や石油精製品の輸出に上限を設定しました。
北韓は原油を年間400万バレル、石油精製品を450万バレル輸入していますが、原油については現行の年間400万バレルを上限に定めました。
ガソリンや軽油などの石油精製品の上限は年間200万バレルに定めました。
アメリカがまとめた草案では原油の全面禁輸措置が盛り込まれましたが、中国やロシアの反対で実現しませんでした。
ただ、石油精製品の上限を年間200万バレルに定めたことで、北韓の石油精製品の輸入量のおよそ3割を削減することにつながります。
一方で天然ガスなどは全面禁輸措置となりました。
また、北韓の繊維製品の輸出を禁止し、北韓の出稼ぎ労働者の就労許可を延長できないよう定めました。
いずれも北韓の重要な外貨獲得源です。
繊維製品は北韓の主要輸出品のひとつですが、今後は輸出することが事実上難しくなります。
北韓は海外に労働者を派遣して少なくない外貨を獲得していますが、北韓の出稼ぎ労働者を受け入れている国は北韓労働者の就労許可を延長できないよう定めましたので、北韓は今後、新たに労働者を海外に派遣することができなくなります。
一方、アメリカは草案で、金正恩労働党委員長や妹の金与正(キム・ヨジョン)氏も制裁対象に指定するとしましたが、結局は朴永植(パク・ヨンシク)人民武力相1人と労働党中央軍事委員会など3団体が新たに制裁対象に指定されました。
制裁の対象になれば、海外にある資産の凍結や渡航禁止措置が取られますが、30~50億ドルに上るともいわれる金正恩労働党委員長の秘密資金は「金正恩」名義で登録しているわけではなく、口座を特定することも困難で、実効性よりは象徴的な意味があるとされています。
中国やロシアの反対もあって、アメリカはこの部分は譲歩したとみられます。
問題は中国の動きです。
中国が誠実に決議を履行しなければ、制裁の実効性を期待するのは難しいのが現状です。
こうしたなか、北韓は15日朝、またも日本の上空を通過する中距離弾道ミサイルを発射し、国連安全保障理事会は韓国時間の16日、再び緊急会合を開いて国連加盟国に対して、北韓に対する制裁を着実に履行するよう求める報道機関向けの声明を発表しました。
ただ、さらなる制裁措置はとらないことにしました。

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