韓国に脱北してきた男が軍事境界線を越えて北韓に戻った問題で、男が軍事境界線に近い北西部・江華島（カンファド）の排水路を通り抜けて北韓側に戻ったとき、韓国軍の監視装置にその姿が捉えられていたにもかかわらず、軍当局がこれを識別できなかったなど、問題があったことがわかりました。
韓国合同参謀本部が31日に発表した調査結果によりますと、男は18日午前2時18分ごろ、タクシーを降りて江華島の排水路に近い場所まで移動しましたが、男がタクシーから降りた際に近くの見張り所にいた兵士がタクシーの灯りを見たものの、上に報告しなかったということです。
男は、2時46分に排水路を通じて漢江（ハンガン）に入りました。
排水路の内部には、鉄条網が二重に設置されていましたが、老朽化で一部が壊れ、普通の体格の人でも通れる状態だったということです。
男は、潮流を利用して北韓地域に移動し、午前4時ごろに岸に泳ぎついたと見られています。
この時まで、男の姿が、監視カメラなどに7回捉えられましたが、当時の監視兵はこれに気付かなかったということです。
合同参謀本部は、江華島地域の警戒を担当している海兵隊2師団に対して、師団長を職務解任し、司令官と首都軍団長を厳重警告するとともに、定期的な機動巡察を強化するなど再発防止対策を講じる方針です。
北韓は、韓国から北韓に戻った男について新型コロナ感染が疑われると発表しており、これをめぐって、一部では北韓が新型コロナ発生の責任を韓国に転嫁する狙いがあるとの見方も出ていましたが、北韓は30日、新型コロナウイルスの国内感染者が「いまだに1人も発生していない」と報じ、「感染者ゼロ」を改めて強調しました。

[Photo : KBS News]