北韓の朝鮮人民軍の指揮官・政治幹部を対象にした講習会が24～27日に開かれ、金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長が「戦闘力強化」を指示しました。
 北韓の朝鮮中央通信によりますと、金正恩国務委員長は、「敵対勢力がわが国を先制攻撃できる能力を引き続き体系的に拡大し、軍備を増強している現在の状況は、緊張激化の悪循環を根源的に終わらせようとするわが軍隊の決心と闘志をさらに奮い立たせている」と述べ、部隊の「戦闘力強化」を指示しました。
ただ、核戦力に対する直接的な言及は伝えられていません。
また、金正恩氏は「軍人は、人民の生命財産を命がけで守らなければならない」と強調しました。
金正恩氏のこうした発言は、北韓内部の食糧状況が思わしくないなかで、軍の備蓄米などを活用することに対する朝鮮労働党の動員命令が十分に履行されていない状況を念頭に置いたものとみられています。
軍の中堅指揮官に対する全軍レベルでの講習会は初めてです。
一方、国際社会の北韓制裁が続いているうえ、新型コロナウイルスの流行による国境封鎖や移動制限措置が取られたことで、去年、北韓経済は大きく後退したものとみられています。
韓国銀行が30日に発表した「2020年北韓経済成長率推定結果」によりますと、去年、北韓の実質GDP＝国内総生産は、前年に比べて4.5％減ったと推定されるということです。
これは、災害や不作により飢饉に見舞われた「苦難の行軍」のさなかにあった1997年以来、最大の減少幅となっています。

[Photo : YONHAP News]