アメリカ国務省は、6日まで開かれるASEAN＝東南アジア諸国連合関連のオンライン会合で、国連安全保障理事会の北韓制裁決議の完全な履行を議題として取り上げるもようです。 
国務省の報道官は現地時間の2日の会見で、ブリンケン国務長官がASEAN関連の5つのオンライン会合に出席するとしたうえで、国連安保理の北韓制裁決議の完全な履行を議題とする方針を示しました。
この報道官は、「南シナ海での『航行の自由』の重要性を訴えるなど、解決が急がれる地域の問題に対するアメリカの立場を強調する。国連安保理の北韓制裁決議の完全な履行をASEAN諸国に促すことも解決が急がれる地域問題の一つだ」と話しました。
北韓制裁の履行は、国務省が原則として強調してきたものですが、南北の通信連絡線が復旧し、南北関係の改善や米朝対話の再開への期待が高まっている時期ということで、注目が集まっています。
関連会議のうち、ASEAN地域フォーラム（ARF）は北韓が出席する唯一の多国間の安全保障協議体です。
北韓が出席するかどうかはまたわかりませんが、出席する可能性もあります。
北韓の金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長の妹、金与正（キム・ヨジョン）党副部長は1日、談話を発表し、今月中に予定されている韓米合同軍事演習について、中止を求め、韓米に圧力を加えています。
この報道官は、軍事演習については触れませんでしたが、制裁の履行という原則を掲げることで、北韓との駆け引きで決して引けを取らないという意気込みと、条件なしで対話に応じるよう北韓に対して遠回しにメッセージを送ったものとみられます。
一方、国防総省の報道官は前日の1日、金副部長の談話について、「韓米合同軍事演習は韓米両国が決める。しかし、韓米連合軍司令部が最優先とするのは兵力の保護で、新型コロナの感染対策に従う」と話しています。北韓の要求に応じるのではなく、新型コロナウイルスの感染状況を考慮して、演習の日程などが調整される可能性があることを示唆しました。
ロイター通信によりますと、国務省の報道官は2日、南北の通信連絡線の復旧に関する最近の状況の展開を歓迎し、外交と対話は韓半島の完全な非核化達成に向けて欠かせないという考えを改めて示しました。

[Photo : YONHAP News]