13世紀、モンゴルによる侵略が続いていた高麗で、国を守りたいという願いを込めて、仏教の経典を板木に刻んだ八万大蔵経が制作された。
この経板は現存する最古の蔵経であり、木版印刷術の結晶体である。
海印寺の蔵経板殿は「八万大蔵経」を保管するために15世紀に建てられた世界唯一の大蔵経板を保管する書庫で、徹底的に計算された科学的な設計が施されている。
建物や窓、戸などが効率的に配置され、自然の風を通すことで適切な温度・湿度の調節ができるようにしてある。
それがこれまで600年以上の間「八万大蔵経」が損なわれることなく保存されてきた大きな理由であり、その優秀性が認められている。