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宇宙産業で本格化する国際競争への参入と、韓国の現状や課題

#今週の経済の焦点 l 2021-03-29

ⓒ Getty Images Bank

韓国で開発された地球観測用の次世代中型衛星1号が22日午後、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、無事、周回軌道に投入されました。初期運用を経て、精密な地球観測映像を韓国に送ることになります。開発期間は5年にわたり、およそ1500億ウォンの予算が投じられました。韓国は、ことし10月に、韓国独自の技術で開発を進めてきたロケット「ヌリ」の打ち上げを目指しています。打ち上げに成功すれば、韓国はアメリカやロシア、中国などに続いて、世界で7番目に独自の宇宙ロケット技術を確保した国となります。

宇宙や宇宙産業といえば、いかにも壮大で遠い存在に思えますが、実は、宇宙はかつてより身近な存在になっています。例えば生活に密着しているのは、スマートフォンにも搭載されるGPS=全地球測位システムによる位置情報です。天気予報も衛星の観測データを利用しています。民間人の宇宙旅行も年内に実現される見通しです。このほか、夜空に巨大な広告を投影する「宇宙看板」や宇宙宅配便なども実現できます。宇宙産業は、発展の可能性が極めて大きく、世界の主要国は、宇宙産業への投資を増やしています。

各国の競争は激しく、アメリカはトランプ政権時代に、2024年に有人月面着陸を目指し、2028年までに月面基地の建設を始めるという「アルテミス計画」を発表しています。中国は、ロシアと協力して月に研究拠点を建設するとしています。イギリスは、はやくも2014年に、2030 年までに世界の宇宙産業でのシェアを10%まで伸ばす計画を発表しています。

韓国も宇宙に目を向けています。政府は25日、「大韓民国宇宙開発戦略」をまとめ、宇宙産業に大胆に投資していく方針を打ち出しました。来年には月を回る軌道船を打ち上げ、2030年までに韓国のロケットを利用した月着陸の夢をかなえるとしています。

韓国の宇宙関連予算は5億ドル程度で、日本の30億ドルの6分の1に過ぎません。技術力を高めるためには予算を増やす必要があります。そして、政府主導の研究開発も必要ですが、民間企業の積極的な参加が必要です。規制緩和などの支援を積極的に行い、宇宙産業の育成に民間の力を活用することで、大きな可能性を秘めた宇宙産業を韓国経済の次の成長エンジンとしていくことが課題となっています。

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