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第654話 青瓦台一般解放の歴史

#アジュンマの井戸端会議 l 2022-05-10

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News

ユン・ソンニョル新大統領が就任し、任期が始まる5月10日、大統領府・青瓦台が全面的に開放されます。

青瓦台は面積が広く、国民と離れたところにあるという認識から、歴代の大統領は国民に寄り添う努力を示すため、青瓦台を一部開放してきました。青瓦台が一般に開放されてきた歴史についてお話しします。


まずイ・スンマン大統領(初代~第3代。1948~1960年在任)は、桜が咲く頃になると、景武台(キョンムデ。イ大統領の時に使われた大統領府の名称)の一部を一般開放していました。当時景武台を訪れた市民たちは、桜だけでなく春の花が満開の境内の庭園や池などを列をなして見て回り、大統領執務室の前でイ大統領夫妻とともに記念写真を撮ったりしたということです。当時は公園やテーマパークなどがなかった時代なので、景武台は春の花をめでるのにもっとも魅力のある場所でした。1955年4月には景武台を訪れた人の数が6万人余りに上ったそうです。


イ・スンマン大統領の下野につながった4.19革命(4月革命)で就任したユン・ボソン大統領(第4代)は、大統領府の名称を青瓦台と改めましたが、桜咲く4月に一般公開する措置は変わらず続けていました。昼食をとるためあるいは散策するために境内を移動していて、自然に市民と触れ合い、挨拶したりしたということです。しかし1968年、銃と手榴弾で武装した北韓の特殊部隊軍人31人が韓国の大統領ら要人の暗殺を企て、青瓦台付近まで潜入し、銃撃戦が発生したことで、青瓦台の開放は中止となり、大統領の警護が一層強化されました。青瓦台の前の道路を含む周辺の道路が通行禁止となり、周辺にそびえるインワン山とブガク山も立ち入り禁止となりました。それから20年近く、青瓦台は国民が近寄ることさえ許されない場所となりました。


1980年、軍事クーデターで権力を握ったチョン・ドゥファン大統領は、就任した日は一般市民を青瓦台に招待していますが、それ以降は一般市民の出入りを認めませんでした。1983年には青瓦台で唯一の伝統家屋、常春斎(サンチュンジェ)が完成していますが、竣工式などの行事も一切行われませんでした。


1988年2月、初めての国民の直接選挙で大統領に選ばれ就任したノ・テウ大統領は、青瓦台の開放を公約として掲げていました。その公約を守る第一歩として、ノ大統領は就任した年の3月、忠清(チュンチョン)北道陰城(ウムソン)郡に住むハンセン病患者の人たち300人余りを青瓦台に招待しました。同じ日に1300人余りの一般市民も招待しましたが、常時開放ではなく、国の記念日などに開放する形が取られました。翌年の2月には就任1年を記念するため、5日間にわたり解放され、この期間に全国から5000人余りが訪れたということです。


キム・ヨンサム大統領は、1993年の就任と同時に青瓦台前に設置されていたバリケードを撤去し、インワン山の登山路を一般に開放しました。またキム・デジュン大統領も、就任した年の1998年、青瓦台への入場の対象をそれまでの団体客だけでなく、個人や外国人に広げました。2003年に就任したノ・ムヒョン大統領は入場できる範囲をさらに広げ、2007年には、40年近く一般の通行が禁止されていたブガク山の登山路を一般開放しました。イ・ミョンバク大統領は青瓦台前で止まる路線バスを新設し、市民のアクセスを向上させるなどの措置を取りました。パク・クネ大統領も、青瓦台館に愛蔵の品などを展示して写真撮影ができるようにするなど市民に親しんでもらうための努力をしましたが、側近がらみの不祥事で、またしても青瓦台は国民から遠いイメージとなってしまいました。2017年5月に就任したムン・ジェイン前大統領は、その年の6月、青瓦台前の道を市民が自由に通れるようにし、それまでは平日のみ認められていた青瓦台本館前の噴水~春秋館(チュンチュグァン)の区間を夜間も市民が通れるようにしました。ムン前大統領は、ブガク山の北側の登山路を2020年に開放していますが、最近、青瓦台の建物の後ろとつながっている南側の登山路を開放し、54年ぶりにブガク山全体を国民に開放しました。


そしてユン・ソン二ョル新大統領は、就任式が終わる10日正午、青瓦台全体を開放するとしています。これまで一般市民の青瓦台の入場は、決められたコース内を見て回ることだけ可能でしたが、今後は、前もって申し込みさえすれば誰もが自由に入ることができます。

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