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「地獄の門」ほか

#国楽の世界へ l 2022-08-15

国楽の世界へ

「地獄の門」ほか

韓国では、18歳のピアニスト、イム・ユンチャンさんが話題です。ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで、史上最年少の優勝をしました。クラシックが全く分からない人も、彼の演奏を聴くと涙が出るといいます。優勝したからと言って変わったことはない、自分はピアノだけを弾いて生きていきたい、という彼の言葉は、18歳の少年ではなく、まるで一生修行をした人のようです。そんな彼が、暗記するほどに読んだ本があるといいます。ダンテの「神曲」です。題目はよく聞きますが、実際読んだことのある方は多くいらっしゃらないかもしれません。この作品は、1300年代初め、詩人であり政治家であったダンテが、祖国を離れ亡命したときに書いた詩です。地獄編からはじまり、煉獄編、天国編まで、14年にかけて完成しました。ロダンの代表的な彫刻作品「考える人」も、「神曲」のうち地獄編をモチーフにした「地獄の門」の一部です。この「神曲」をパンソリで聴くと、どんな感じがするでしょうか。今日は、まず、チョン・ウンヘさんの歌で、「ダンテの神曲のうち、地獄の門」という曲です。


歌い手のチョン・ウンヘさんは、ダンテの「神曲」を数年間にかけて自分の視点で再解釈し、歌にしました。中世のイタリアの古典文学作品を、韓国の古典音楽パンソリで表現するのが、不思議に思えるかもしれません。ダンテが生きていた時代、イタリア半島はいくつかの都市国家に分かれ、それぞれの方言を使いました。詩はラテン語で書くのが常識でしたが、ダンテは「神曲」をラテン語ではなくトスカーナ方言で書いたそうです。読み手が分かりやすく書きたいという理由だったそうです。韓国人が「神曲」を韓国の歌い方で表現することも、より多くの人が「神曲」を読んで欲しいというダンテの意図を表したことだといえます。今度は、ヘパリというグループの音楽です。このグループは、韓国の国の無形文化財であり、ユネスコ人類無形文化遺産に登録されている、「宗廟(チョンミョ)祭礼楽」を自分たちの視点で再解釈しました。「宗廟祭礼」は、朝鮮時代の最も重要な国の儀式でした。このときの歌、演奏、踊りは、単純でありながらも美しいものです。ヘパリは、この音楽に見とれた瞬間を浮かべながら、自分たちの作品を作ったと言います。テクノ音楽とブレイクダンスが出会って完成したこの曲は、朝鮮時代の音楽とは全く違う雰囲気です。それでは、ヘパリの歌で、「クィイン・ヒョンガ」という曲をお楽しみください。


最後は、ソドバンドというグループの歌です。彼らが掲げる音楽は、「朝鮮ポップ」です。韓国の伝統音楽の要素に合わせて、ポップミュージックの要素を組み合わせた音楽だそうです。どんな音楽であるのかは、実際お聞きになりながら感じてみてください。それでは、ソドバンドの歌で、「カンガンスルレ」という曲をお楽しみください。ボーカルは子供の頃パンソリを勉強したと言いますが、歌にパンソリの歌い方が表れているわけではありません。バンドで伝統楽器を用いているわけでもありませんが、人々は彼らの歌を聞くと、国楽らしいという感じを受けるといいます。

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