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経済

韓国の造船業の現状と今後の課題

#今週の経済の焦点 l 2021-02-15

ⓒ Getty Images Bank

1月に世界で発注された船舶のうち52%を韓国の造船所が受注し、韓国は4か月連続で受注量世界1位となりました。韓国は去年、年間で船舶受注量世界1位となりました。1隻の値段が2000億ウォンを超える大型LNG=液化天然ガス運搬船や900億ウォンを超える超大型オイルタンカー(VLCC)など、付加価値率の高い船舶で競争力を発揮したのがその背景にあります。

ことしの見通しはさらに明るいとみられます。韓国輸出入銀行海外経済研究所は、ことし、韓国の造船所の受注額が前年の2倍以上に増えると予想しています。新型コロナウイルスの流行で延期されていた船舶の発注が再開され、物流量も増えています。また、船舶の環境規制が大幅に強化され、老朽化した船舶に代わる新しい船舶建造の需要が増えるとみられています。韓国の造船3社も、ことしの受注目標を去年より大幅に引き上げています。 

積極的なのは韓国企業だけではなく、世界1位、2位をめぐる韓国、中国、日本との間の競争もさらに激しくなるものとみられます。安値競争により、営業利益が低いことも韓国の造船会社が抱える課題です。収益性を高めていくためには、環境配慮型の船舶など付加価値の高い船舶に集中する必要があります。

韓国の造船業の課題はほかにもあります。韓国の造船業が成長するなかで重要な役割を担ってきた中規模造船会社の再活性化です。STX造船海洋、城東(ソンドン)造船海洋、大韓造船、大鮮(テソン)造船など韓国の中規模造船会社7社の去年の受注額はおよそ5億ドルで、10年前に比べて8分の1に減っています。造船業界でも二極化が進んでいるのです。海運業の飛躍も課題です。

韓国の造船業は10年以上、衰退の道をたどってきました。新型コロナ終息後の需要回復に向けた期待、船舶の老朽化、環境意識の高まりなど、造船業をめぐる環境の変化を復活のきっかけとして生かすことができるのか、見守っていきたいと思います。

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