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経済

急速なウォン安ドル高の背景や韓国経済に与える影響

#今週の経済の焦点 l 2021-10-18

ⓒ Getty Images Bank

このところ、ウォン安ドル高が急速に進み、ウォン相場は1ドル=1180ウォンから1190ウォン台で動いています。

その背景として、大きく3つをあげることができます。一つ目は、アメリカのFRB =連邦準備制度理事会が近くテーパリング=量的緩和の縮小に乗り出す見通しであることです。アメリカがテーパリングに乗り出せば、市場に供給される流動性は減り、その分ドル高が進みます。二つ目は、中国経済の見通しが明るくないことです。不動産開発企業の中国恒大グループが破綻の危機に直面していることや電力不足が続いていることから、中国経済のことしの成長率は落ち込むとみられていて、人民元の相場も下がるとみられています。中国経済と韓国経済は密接な関係にあり、両国の通貨の相場は同じ方向に動く傾向があるため、ウォンも一緒に下がる可能性が高いとみられています。三つ目は、国際原油価格が上がっていることです。国際原油価格は今年に入ってから60%以上上昇しました。天然ガスや石炭などの化石燃料が次々と値上がりするなか、国際原油価格まで値上がりし、安全な資産を好む傾向が強まっていることがドル高につながっています。

急速なウォン安ドル高を受けて、韓国銀行は「必要なら市場の安定をはかる計画だ」と述べ、必要に応じて介入する可能性を示唆しました。政府と金融当局がウォン安に神経をとがらせているのは、ウォン安ドル高が物価を刺激するからです。

これまで韓国政府は、国内の景気の回復ぶりは顕著だとする見方を堅持してきました。韓国経済を担う輸出がはっきりと回復していたからです。ところが、最近は、雰囲気が変わってきました。新型コロナの流行がなかなか収まらないなか、グローバルサプライチェーンの混乱により、輸出の伸びが鈍化しています。内需も芳しくありません。国策研究機関である韓国開発研究院は、このほど10月の経済動向を発表し、「韓国経済の下振れリスクが増大している」と指摘しています。

一方で、こうした懸念について、「韓国経済の基礎体力は良好で、行き過ぎた心配だ」と指摘する声もあります。韓国の外貨準備高は9月末の時点で4639億7000万ドルと、3か月連続で過去最大を更新しています。また、企業のドル建ての外貨預金は、8月の時点で631億9000万ドルと、前の月より10億ドル近く増えています。

しかし、そうだとしても、さまざまなリスク要因に徹底的に備えておくことは必要です。経済の基礎体力をさらに向上させ、グローバルなリスク要因による影響を最小限に抑えることが課題となっています。

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