メニューへ 本文へ
Go Top

文化

映画『交渉』

#成川彩の優雅なソウル生活 l 2023-02-02

玄海灘に立つ虹


〇本日ご紹介する映画はイム・スルレ監督の『交渉』です。日本でも人気のヒョンビンとファン・ジョンミンが主演の映画で、韓国では1月18日に公開され、1月30日の時点で観客数146万人。話題になっています。2007年に起きた実際の事件がモチーフになっているんですが、アフガニスタンを訪れた韓国の教会信者たちがタリバンに拉致された事件で、映画ではタリバンとの交渉がメインで描かれました。

日本でドラマ『愛の不時着』が大ヒットした2020年、私のもとにもヒョンビンインタビュー依頼がたくさん来ましたけども、その頃ヒョンビンは『交渉』の撮影でヨルダンに行っていました。コロナ禍で海外ロケが難しいなかですごいなと思いつつ、公開を心待ちにしていました。余談ですが、昨年11月、ヒョンビンさん、ソン・イェジンさんとの間に赤ちゃんが産まれたというおめでたいニュースもありましたよね。


〇ファン・ジョンミンが外交官のチョン・ジェホ、ヒョンビンが国家情報院の要員パク・デシクを演じ、2人がタリバンとの交渉に当たります。ヒョンビンは今回、現地に詳しい要員として、髭をはやした野性的な雰囲気で出てきて、アクションもさすがかっこよかったですが、武田さんも出ているという撮影中の『ハルビン』では安重根役ということで、なんとなく想像がつくような気もしました。

主演2人のほか、昨年の大ヒットドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』でウ・ヨンウの先輩弁護士役で人気が出たカン・ギヨンも出ていて、現地通訳の役を演じていました。主演2人の緊張感いっぱいの雰囲気を時々和ませてくれる役柄でした。


〇実際の事件ですが、2007年、23人の韓国人がアフガニスタンで拉致され、このうち2人が殺され、21人は解放されたという事件でした。危険な地域と分かっていながら宣教活動に行ったということで、韓国内で教会関係者に対する非難の声も上がったと聞いていますが、ジンヒョンさん、当時のニュース覚えていますか?


〇実際は分からないですが、映画の中では拉致された韓国人グループの目的が「ボランティア活動」だったということで解放に向けて交渉がまとまりかけていたのが、韓国の放送局が「宣教活動」というのを報じてしまい、それを知ったタリバン側が態度を変えます。いずれにしてもアフガニスタンでキリスト教の宣教というのは非常に危険ですよね。

その交渉の難しさが映画のメインなんですが、人命救助が最優先とも言いきれないのは、タリバンの要求をそのまま受け入れるのは国際社会の非難も受けるし、米国との関係を考えても難しい。その間で葛藤します。


〇スター俳優2人主演でヨルダンロケ、製作費100億ウォンを超える規模の映画を女性監督が撮るのは初めてだそうです。イム・スルレ監督は1996年のデビュー以来、コンスタントに作品を作り続けている数少ない女性監督の一人で、韓国映画界の中心で活躍しているという意味では唯一と言えそうです。私は特に『ワイキキ・ブラザーズ』(2001)が好きなんですが、これに有名になる前のファン・ジョンミンが出ていたんですよね。前作の『リトル・フォレスト 春夏秋冬』は日本でも見た人たくさんいるかと思います。田舎でヒーリングの『リトル・フォレスト』とは真逆とも言える『交渉』ですが、この幅の広さがイム・スルレ監督の魅力だと思います。

この映画の監督としてオファーを受けた当初はイム監督は政治的、宗教的な問題になりかねないのもあって迷ったそうですが、これまで韓国映画で描かれてこなかった素材というのもあり、挑戦したと話していました。拉致事件が起こり、その結果として殺害されたり解放されたりというのはニュースで知りますが、その間にどういう交渉が行われるのかというのはなかなか想像しにくい世界だと思います。

時期はまだ出てないですが、日本でも公開予定と聞いているので、ぜひ劇場で見てもらいたいなと思います。


おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >