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文化

「ソウルグッ、バリ姫の巫女の歌」ほか

#国楽の世界へ l 2020-09-16

国楽の世界へ


人間には魂があり、肉体が死んだ後はあの世に行くと信じる方もいます。この世での暮らしは短くても、あの世では永遠に暮らしたいという願いでしょう。しかし、実際あの世に行ったことのある人はいません。何もないところに一人だけ残されると考えると、恐ろしい気持ちになるでしょう。そんなとき、あの世への道を案内してくれる神が迎えに来てくれるなら、どれだけ安心できるでしょうか。韓国の神話に登場する「バリ姫」は、そんな神です。亡くなった人の魂を安全にあの世へと導く存在です。もともとは、どこかの国の7番目の姫だったそうです。神話の中で人が神になるときは、それにふさわしい苦難を乗り越えるというお話が出てきます。ソウルセナムグッというものは、亡くなった人の追善のための儀式です。この儀式を行うとき、バリ姫の来歴を歌います。今日は、その中から、バリ姫が娘だからという理由で生まれてすぐに捨てられる場面をお聞きいただきます。イ・サンスンさんの歌で、「ソウルグッ、バリ姫の巫女の歌のうち、バリ姫が捨てられる場面、서울굿 말미거리 중 바리공주가 버려지는 대목」という曲をお楽しみください。


このようにして捨てられたバリ姫は、幸い善人の養父母に育てられます。ところが、ある程度成長してから、実の親の王と王妃が病気になったというお話を聞きます。その病気を治す薬は、西天というところでのみ手に入れることができます。西天は、生きている人は行けないところだそうです。当然、その薬を探しに行くという人はいませんでした。王と王妃は、バリ姫のことを思い出します。バリ姫は、自分を捨てた両親のために、命をかけて薬を探しに出かけます。あらゆる苦難を乗り越えて西天に到着し、薬を持っているある男性と出会いました。男性は、三年間木こりの作業をし、三年間火を焚き、三年間水を汲んできて、自分と結婚して7人の息子を産むようにといいました。バリ姫はその通りにし、ついに薬を手に入れて両親を助けるのです。その後は、亡くなった人の魂をあの世に見送る神になったそうです。今度は、棺をお墓まで担いでいくとき歌う曲をご紹介いたします。昔は、棺の輿を美しく飾り、村の人々がお墓まで担いで歩きました。お聞きいただく曲は、棺を運ぶ前の日、村の人々が輿を担いで歌ったものです。イ・ミョンスクさんの歌で、「済州(チェジュ)の民謡、お花の念仏の歌、제주민요 꽃염불소리」という曲をお楽しみください。


韓国の昔の葬式は、悲しいことばかりではありませんでした。もちろん家族は悲しいですが、村の人々が集まって食事をする様子は、まるで宴会のようにも見えます。特に、亡くなった方が高齢だったり、村のために功績を挙げた方である場合、演劇や歌を楽しむこともありました。そうすることで、家族の悲しみも和らぐと思ったからです。今日の最後は亡くなった方の恨みを晴らす歌です。キム・デレさん他みなさんの歌で、「珍島(チンド)シッキムグッのうち、道をならす歌、진도씻김굿 중 길닦음」という曲をお楽しみください。シッキムグッという祭祀は、亡くなった方の恨みを晴らし、軽い気持ちであの世へ行くようにという願いがこもった儀式です。亡くなった人だけでなく、家族の立場でも生前できなかったお話をし、気持ちを洗い流すという意味があるんです。

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