自己啓発本『セイノの教え』
2024-03-21
昔々、人里離れた山奥に一頭の大きな虎が住んでおりました。
性格がとても荒々しく、山の動物たちは虎の影を見ただけで震え上がりました。
ある日、腹を空かせた虎は村へ下りていきました。
「このままじゃ飢え死にしてしまいそうだ。村に下りて、豚か牛を食ってやろう。
いや、人間さまでも構わない。」
その時、どこからか子どもの泣き声が聞こえてきました。
「ほーら、泣くのはおよし。門の外に怖い虎が来ているよ。」
ところが虎が来ているという言葉にも、子どもは泣き止みません。
「ほれ、干し柿が来たよ、干し柿。もう泣くのはおよし。」
子どもがぴたっと泣き止みました。
怖い虎が来たと言っても泣き続けていた子が、干し柿の話に泣き止んだのです。
虎は怖くなりました。
「ちょっと待てよ。今、部屋の中には、わしより恐ろしい干し柿がいるということじゃないか。干し柿が出てくる前に逃げた方が良さそうだ。」
虎はびくっとしました。
干し柿が自分を捕まえるために背中に乗ったと思ったのです。
「おい!干し柿!さっさとわしの背中から離れろ!」
「おい!お前たち。村の方に行ってはならないぞ。
わしが村に行った時、干し柿に出くわして、危うく命を落すところだったんだ。」
その後、虎が村に来ることはありませんでした。
2024-03-21
2024-03-14
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