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文化

「月正明」ほか

#国楽の世界へ l 2022-06-27

国楽の世界へ

「月正明」ほか

時調(シジョ)という詩は、韓国固有の定型詩です。韓国の人であれば、小学生の頃からこの詩を暗唱した記憶があるでしょう。東の窓から太陽の日差しが入ってくるまで眠っている子供を叱る内容や、山がどんなに高くても結局は空の下にあるものだ、などという有名な詩があります。ところが、この詩を知っている人は多くても、歌の歌詞であったということを知っている人はあまりいないように思えます。音楽の科目ではなく、国語の時間に学んだからです。時調詩を歌う方法には、歌曲(カゴク)と時調、ふたつの種類があります。歌曲は、カヤグム、コムンゴ、テグム、ヘグム、ピリ、チャングなどの管弦楽の伴奏チームを揃え、形式を守って歌います。時調は、太鼓チャングの伴奏だけでも歌えますし、余裕があればピリやテグムのような管楽器の伴奏に合わせて歌う、もう少し大衆的な形式の歌です。今日の最初は、時調、「月正明(ウォルジョンミョン)」という曲です。船に乗って川に出ると、水には空が映り、空には月があるという歌詞を歌います。この曲を、キム・ウォルハさんの歌でお楽しみください。


時調詩は三つの章と六つの句、45文字ほどで構成される定型詩です。三つの章は二つの句で成り立っていて、句は3音節または4音節から成る単語ふたつから構成されるため、文字数を合わせると45文字ほどになります。本来はこのような形式ですが、朝鮮時代後期になると、一般の庶民も時調詩を作り始め、形が変わります。表現したいお話が多かったのか、文字数も次第に増えました。文字数が増えたのを見ると、それだけ時調が人気があったのが分かります。そのようにして、時調詩を民謡に載せて歌う音楽が出始めたのです。そのひとつが、京畿(キョンギ)の民謡、歌の調子という意味の「ノレッカラク」で、いくつかの時調詩を続けて歌う曲です。それでは、イ・ヒワンさんの歌で、「ノレッカラク」という曲をお楽しみください。


この曲は、ソウルと京畿地域の祭祀で、巫女ムーダンが神を招くとき歌ったものだそうです。いつからか専門の歌い手が歌い、民謡として知られるようになりました。最近は、メロディーに合わせて歌うことを全て歌と言いますが、昔は歌にも色んな呼び方がありました。上流階層が楽しんだ時調のようなものは歌で、パンソリや民謡のような一般の民の歌はただの音、または、雑歌と表現しました。「ノレッカラク」という曲名の「ノレ」は歌という意味ですが、これは時調を指すものです。時調詩を民謡に合わせて歌う曲だという意味で、「ノレッカラク」という名前になったのです。今日の最後は、先ほどの「月正明」という曲に合わせて、イ・サン詩人の「烏瞰図(オガムド)」という詩を朗読する形の音楽です。ファン・チンアさんのコムンゴの演奏と詩の朗読、そして、チ・ミンアさんの歌で、「月正明」という曲をお楽しみください。ファン・チンアさんは作曲家でありコムンゴの演奏者です。コムンゴの音色と、彼女が直接朗読する声がよく合わさった音楽です。

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