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文化

「竹の風流、デプンリュ」ほか

#国楽の世界へ l 2022-07-04

国楽の世界へ

「竹の風流、デプンリュ」ほか

インドの哲学の重要な根拠となるのが、「ウパニシャッド」です。もともとは、先生から直接教わる秘密の教えという意味だったそうです。本に文字で記録されたものではなく、口で伝え心で教えるものです。韓国の伝統音楽も、同じような形で継承されました。楽譜で記録するのではなく、先生が直接歌い楽器の演奏をすると、それを真似て音楽を身に付けます。そして、何度も訓練をして、自分の実力に磨き上げるのです。この過程で、先生が教える度に楽器を演奏すると大変なので、楽器の音を出して歌うことがありました。これを口の音、口音といいます。コムンゴ、カヤグム、ピリ、テグムなど、それぞれの楽器ごとに決まった言葉の口音があります。今日の最初は、笛ピリの口音からご紹介いたします。チェ・キョンマンさんの口音で、竹でできた管楽器を中心に色んな楽器が合わさった音楽「竹の風流、デプンリュ」という曲をお楽しみください。


国楽のミュージシャンは、今でもこのような形で音楽を継承しています。その背景には、西洋の五線譜に伝統音楽を記録するのが難しいからだという理由があります。また、先生の歌から、楽譜には記録できない感情と表現の技法まで読み取って継承したいという想いもあるでしょう。口音を通じて、音の高さや演奏法まで共に表現することもあります。例えば、コムンゴの「ダン」という口音は、左手の薬指で押さえて音を出す演奏法ですが、それだけでなくその時の音を表現する言葉なんです。散調(サンジョ)というジャンルは、南道(ナンド)という地域の歌を元に構成されます。口音で知られるチョ・スンエさんは、もともとパンソリと南道の民謡を歌う方でした。彼女の夫のキム・トンジュンさんは太鼓の芸能保有者で、生前、キム・ジュクパさんの伴奏をすることが多かったそうです。このような背景から、今度は、チョ・スンエさんの口音で、「キム・ジュクパ流のカヤグム散調」という曲をご紹介いたします。


楽器の演奏の代わりに人の声で音を出すのを口音と言いますが、時には口音を楽器のように用いることもあります。母音だけを出すのですが、これも同じく口音といいます。心に恨みやしこりがあると、それを歌詞で表現するのは難しいものです。言葉では表せない深い感情を、歌詞がない歌で効果的に表現しようとしたのです。今日の最後は、キム・ソヒさんの口音と、キム・ドクスさんのサムルノリ、コムンゴ、アジェン、テグムなどが合わさった音楽、「口音、クウム」という曲をお楽しみください。音楽には国境がないと言います。国楽の口音も、国を問わずだれでも共感できる音楽のひとつと言えるでしょう。

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