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文化

2022年の韓国映画振り返り

#成川彩の優雅なソウル生活 l 2022-12-08

玄海灘に立つ虹


〇早くも年末ですね。ということで、今回は2022年の韓国映画について振り返ってみたいと思います。先日、韓国の代表的な映画賞、青龍映画賞の授賞式がありましたが、パク・チャヌク監督の『別れる決心』が最優秀作品賞をはじめ6冠ということで、今年最も評価の高かった映画は『別れる決心』と言ってもいいと思いますが、興行記録で言えば、『犯罪都市2』、日本では『犯罪都市 THE ROUNDUP』というタイトルですでに11月に公開されましたが、観客数1200万人を超える大ヒットを記録しました。コロナ以降、もう1000万を超える映画は出てこないんじゃないかと思っていたので、正直びっくりしました。



〇コロナの影響で大作の公開が滞っていたんですが、今年はたくさん公開されました。このコーナーでも紹介した是枝裕和監督の『ベイビー・ブローカー』やイ・ジョンジェ監督の『ハント』のほか、李舜臣が主人公の『閑山(ハンサン):龍の出現』、ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、チョン・ドヨンら豪華キャストでも話題になった『非常宣言』、ヒョンビン&ユ・ヘジン主演の『共助2:インターナショナル』などなど、大作が続々公開されました。

ところが、『犯罪都市2』の大ヒットをのぞくと、やはりコロナ以前ほどの水準には観客数が戻っていないなという感じです。例えば10月の観客数を基準に言えば、コロナ以前の半分にも満たない水準で、すでにOTT(オンライン配信サービス)で映画を見るのに慣れてしまったという人も多いんだろうなと思います。



〇俳優で言えば、今年最も活躍の目立った俳優は、パク・ヘイルとソン・ソックかなと思います。パク・ヘイルは『別れる決心』『閑山』で主演を務めました。私は個人的にはパク・ヘイルのちょっと情けない感じのキャラクターが好きだったんですが、『別れる決心』も『閑山』もカリスマの感じられるかっこいいパク・ヘイルで、何か手の届かないところにいってしまったような、もともと手は届かないんですが、ちょっと寂しい気持ちになるほど大スターになった感じでした。

『犯罪都市2』の大ヒットに貢献したソン・ソックは、ドラマ『私の解放日誌』で急激にファンが増えて、シンドロームのような感じでしたが、たぶんそれまでは「ソン・ソックって誰?」という人もいたと思います。私は「恋愛体質(原題は멜로가 체질)」や「D.P.」などいくつかのドラマでいいなと思っていて、今年このコーナーで紹介した『アンフレームド』という俳優たちの撮った短編映画集の中で一番良かった「再放送」という短編の監督がソン・ソックだったんですね。演技も素晴らしいですけど、演出もできる、多彩な才能を兼ね備えた俳優で、今後の活躍がとても楽しみです。



〇一方で悲しい出来事もありまして、女優のカン・スヨンさんが5月に亡くなりました。80年代後半にイム・グォンテク監督の『シバジ』でベネチア国際映画祭主演女優賞、同じくイム監督の『ハラギャティ(原題は아제아제 바라아제)』でモスクワ国際映画祭主演女優賞を受賞した、ワールドスターでした。釜山国際映画祭の執行委員長も務め、韓国映画界にとってはとても大きな存在だったので、それだけショックも大きかったです。


〇10月の釜山映画祭は今年は海外からもたくさんのゲスト、観客が集まり、私も久々の映画関係者にも会いながら、いろんな作品を見ました。昨年から劇場公開されないOTTの作品も釜山映画祭で先行公開されるようになり、映画とドラマの境界がもはやなくなってきた感じですが、その中で、イ・ジュニク監督の「ヨンダー」という作品が特に印象に残りました。シン・ハギュン、ハン・ジミン主演の近未来を描いた作品で、もしかすると近い将来、こういうことになるのかもと思わせる内容で、引き込まれました。韓国ではTVINGで配信中で、日本でも来年配信予定と聞いています。

まだ公表されていないものも含め、来年上半期、注目の韓国映画がどしどし日本で公開される予定ですので、楽しみに待っていただければなと思います。


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