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文化

「フンタリョン」ほか

#国楽の世界へ l 2022-12-26

国楽の世界へ

「フンタリョン」ほか

ソン・フンロクさんは、1800年代の伝統芸能パンソリの名人です。歌が上手で、歌の王様と呼ばれました。しかし、まだ歌の王様になる前、それなりに10年も勉強をして自信満々であった頃、大邱(テグ)という地方に招かれて歌を歌ったことがあります。多くの人が彼の歌に感嘆していたとき、メンリョルという名前の芸者キーセンだけは反応がいまいちです。プライドに傷がついたソン・フンロクさんは、修練の末に境地に至り、再びメンリョルと会うことになりました。そのときは、メンリョルもソン・フンロクさんを認め、二人は夫婦になります。ところが、両方自分の意志が強い人で、夫婦喧嘩をすることが多かったといいます。ある日、二人は喧嘩をして、メンリョルが家出をしました。ソン・フンロクさんは歌い手らしく、歌でメンリョルを止めたそうです。彼の歌がどれほど切実だったのか、メンリョルは去ることができず、戻ってきたとのことです。今でも、南道(ナンド)の雑歌(ザブカ、ぞうか)、「フンタリョン」には、その名残が残っています。今日の最初は、アン・スクソンさんの歌で、「フンタリョン」という曲です。


散調(サンジョ)というジャンルは、朝鮮時代末にできた音楽の形式です。ゆっくりのものからはじまって、次第に速くなる拍子の上で、演奏者が自由に演奏する即興的な曲です。カヤグムの散調が先にできてから、他の楽器でも散調ができました。テグムの散調をはじめて演奏したのは、1800年代末、全羅南道(チョンラナムド)珍島(チンド)で生まれ育った、パク・チョンギさんという方です。パク・チョンギさんは、親孝行で、母が亡くなると、毎日お墓に行き、テグムを吹いたといいます。お墓は山の中や麓にあるので、鳥がさえずる音がよく聞こえてきます。パク・チョンギさんが鳥のさえずりを真似て演奏をすると、その音が本物とそっくりで、鳥が飛んできて肩に座ったといいます。最近よく演奏される、テグムの散調には、鳥の音を真似た音楽がたくさんあります。今度は、その一部をご紹介いたします。イ・センガンさんのテグムの演奏で、「이생강류 대금산조 자진모리、イ・センガン流テグム散調、チャジンモリ」という曲です。


最近は、パンソリがユネスコ人類無形文化遺産にも登録され、外国人の中でもパンソリを習う方が多いといいます。でも、朝鮮時代のパンソリは今とは違いました。上流階層ヤンバンは、パンソリを楽しむことはあっても、直接歌うのは低い階層がすることです。ところが、1700年代末、名門のヤンバンの家柄の子孫、クォン・サムドゥクという人が、パンソリをすると言い出したのです。家門に恥になるとして大変な騒ぎになり、結局彼を殺すことにしたそうです。今日の最後は、彼が得意とした、良い気になってうぬぼれるような歌い方、「クォンマソンゼ」の代表的な歌です。パク・トンジンさんの歌で、「흥보가 중 제비 후리러 가는 대목、フンボの歌のうち、ツバメを捕まえに行く場面」という曲をお楽しみください。クォン・サムドゥクさんは、死ぬ前に一曲歌わせて欲しいと言います。彼の歌を聴いた家族は、彼の歌がなんと哀切だったのか、彼を殺すことはできず、追い出すことにしたそうです。

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