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文化

「春眠の曲」ほか

#国楽の世界へ l 2023-04-04

国楽の世界へ

「春眠の曲」ほか

春に眠たくなるのは、私たちの体が春の環境にすぐ適応できないから起こる現象です。太陽が早く昇り、遅く沈むため、夜寝る時間は短く、活動する時間は長くなるのです。活動が増えると栄養も必要になりますが、いきなり栄養を供給できないため、眠くなるのです。忙しいとき眠くなると困ることもありますが、短い時間でも居眠りができると、とても気持ち良いものです。歌辞(カサ、かじ)というジャンルの「春眠の曲」は、そんな春の日に眠りから覚めた時のことを表現した曲です。目を覚まして窓を半分ほど開けると、庭のお花が何と華やかなのか、蝶を惹きつけ、川辺のヤナギはゆっくりと動き香りを放つ、という内容です。少し気だるい春の日の午後、その趣きが感じられる音楽です。


歌辞(カサ、かじ)は、正歌(チョンガ、せいか)に属するジャンルの歌です。正歌は朝鮮時代の上流階層が楽しんだ歌です。民謡とは違い、形式を整え、ゆっくりと優雅に歌うのが特徴です。正歌には、歌辞以外にも歌曲(カゴク、かきょく)や時調(シジョ、じちょう)があります。歌曲や時調は短い詞を歌詞にして歌いますが、歌辞は詞に漢詩を付けたり、民謡のようにサビがあったりと、とても長く歌うという差があります。現在、歌辞は全部で12曲だけが伝わっていて、十二歌辞ともいいます。ほとんどが学者ソンビの風流に関する曲です。先ほどの「春眠の曲」も、眠りから覚めて庭を見つめるお話から始まり、その後ソンビは華やかな服装をして美しい女性に会いに行くという内容が続くんです。本当に行ったというよりは、そうしたいという希望を込めていたのだと思います。今度は、十二の歌辞の中で、「竹枝詞」という曲です。何か悔しい想いをして島流しになったソンビが、王様を恨むことはできず、自らを大丈夫だと慰めるような感じがする曲です。そして、美しい自然の景色を楽しむ内容が続きます。そのため、今度ご紹介する曲には、「竹枝詞」を新しく編曲し、「楽園の歌」という題目を付けました。


正歌は基本的に学問に精通していて、経済的にも時間的にも余裕がある人々が楽しむ歌です。中でも歌曲は、カヤグム、コムンゴ、テグム、ヘグム、ピリ、チャングなど、色んな楽器を揃えて伴奏するのが特徴です。一方、時調や歌辞は普通、テグムやタンソ、ピリのような管楽器一つや二つほどで伴奏をします。歌曲に比べ、歌辞や時調はもう少し大衆的な音楽であったという意味です。今日の最後は、愛する人と別れてから相手を恋しく想う気持ちを込めた歌です。先ほどの「楽園の歌」や「相思別曲」は、本来の伴奏より多様な楽器を用いてモダンに再構成した音楽です。「相思別曲」は、特に、アジェンとピリを用いて、寂しく暗い気持ちをより強調した曲です。

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