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文化

「霊山会相(ヨンサンフェサン)のうち軍楽」ほか

#国楽の世界へ l 2023-04-11

国楽の世界へ

「霊山会相(ヨンサンフェサン)のうち軍楽」ほか

韓国の伝統的な弦楽器は、ほとんど絹の糸で作った弦を使用します。鉄のカヤグムや鉄の弦の琴など、金属で作った弦を使用するものもありますが、これらは最近改良した楽器です。朝鮮時代からの楽器のうち、唯一金属の弦を使用するものには、「ヤングム」があります。韓国語には、単語の前に「ヤン」という表現がつくものがあります。レタスは「ヤンベチュ」、玉ねぎは「ヤンパ」、靴下は「ヤンマル」、背広は「ヤンボク」などです。これらは、西洋から伝わったものを指します。同じように「ヤングム」も、西洋から伝わった弦楽器だという意味です。より正確には、欧州から伝わった、鉄の弦を載せた弦楽器です。元々は中東で初めて作られ、欧州に伝わってからは、ダルシマーと呼ばれたそうです。弦をばちで叩いて音を出す楽器です。ダルシマーは、ピアノにも影響を与えました。鍵盤を押すと小さいハンマーが動き、弦を叩いて音を出すという構造が似ています。ダルシマーは、宣教師によって中国に伝わりました。中国を往来した朝鮮の使臣がそれを持ち込んできて、韓国の音楽でも使われるようになったのです。


力強いコムンゴの音に比べ、ヤングムは弾けるように清く軽い音色が特徴です。朝鮮の使臣もきっとその音色に惹かれ、ヤングムを買ってきたんだと思います。当時、かなりのお金を支払ったはずですが、当初は韓国の音楽の演奏では使われませんでした。国楽の音が、中国や欧州とは明確に違っていたからです。韓国の音楽を演奏するには、それに合った調弦と演奏法を見つけなければなりません。それを担当したのが、朝鮮時代後期の有名な実学者、ホン・デヨン先生です。彼は元々、音楽の理論に詳しく、自らコムンゴやカヤグムを演奏することもありました。多くのミュージシャンを招いて共に演奏を楽しむこともあったといいます。使臣として中国へ行ったときは、カトリック教会のパイプオルガンに見とれたようです。誰かが費用を負担してくれるなら、自分もこの楽器を作れると言い切ったほどだそうです。そんな彼が、ヤングムを色んな方法で演奏し、ようやく韓国の音楽に相応しい演奏法を開発したのです。

 

ヤングムは、韓国の音楽に合わせて改良したものの、伝統的な国楽の楽器とは違いがあります。国楽の特徴のひとつに、音程を一定して保たせるのではなく、揺るがして変化させる技法があります。コムンゴやカヤグムのような楽器は絹の糸で作った弦を使用するため、手やスルテというバチで弾いて音を出します。その後、弦を抑えるか、引っ張って、音に変化を与えます。ところが、ヤングムは細い金属の弦をバチで叩いて演奏するため、音を揺るがすことができません。エキゾチックで目新しいと思うこともある反面、長い時間聴くには面白くないと思うこともあったようです。そのため、独奏よりは、他の楽器と共に演奏しました。先ほどの散調は、最近になって作られたものなんです。最近は以前と比べ、ヤングムが多様な音楽の演奏に使用されています。「隙間」という曲は、両手でバチを持って華やかに演奏するヤングムに加え、ベースと打楽器が調和を成した音楽です。

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