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文化

「北の空が晴れているから」ほか

#国楽の世界へ l 2023-04-25

国楽の世界へ

「北の空が晴れているから」ほか

朝鮮時代中期の学者ソンビ、イム・ゼ先生は、名門の家柄出身で知られます。また、朝鮮時代で一番趣きがある若い男性ということでも有名な方です。官職を受けて、平安道(ピョンアンド)に行く途中、朝鮮時代最高の芸者キーセンとされるファン・ジニのお墓を訪ねました。お墓でお酒を注ぎ、詩をつくって謳ったということで、赴任する前に解任されたことがあります。真冬に、若いキーセンに扇子をプレゼントすることもありました。真冬に扇子をあげたからといって、怪しげに思わないでくれ、君は若いから分からないかもしれないが、恋煩いで真夜中に心が熱くなると、真夏の暑さよりもっと暑くなるのだ。このような内容の詞と共に、扇子を贈ったのです。また、寒い雨と書いて、寒雨(ハンウ)という名前のキーセンに会ったとき作った定型詩時調(シジョ)は、今でも歌われています。北の空が晴れているから雨具なしで出かけたところ、山には雪が降って野原には冷たい雨が降るので、今夜は冷たい雨に当たり凍えて眠るだろうという内容の詞です。


この時調を聴いた寒雨は、温かい部屋においでくださいという内容の詞で応えたといいます。愛情が深いことを指す言葉に、比翼連理というものがあります。比翼の鳥と、連理の枝を合わせた言葉です。唐の詩人、白居易は、玄宗と楊貴妃の愛を謳った詞で、天にあっては比翼の鳥に、地にあっては連理の枝になりたいと歌いました。比翼の鳥は、雌と雄がそれぞれ目がひとつ、翼もひとつの、想像の中の鳥です。一組がぴったりくっついて羽ばたいてこそ、空を飛ぶことができます。連理の枝は、お互いに違う根っこの枝が絡んで、まるでひとつの木のようになったことを指します。仲良しの夫婦や親子を指して言う言葉です。


KBSドラマ「チュノ」のサウンドトラックの中で、想像の中の比翼の鳥と神秘な自然の現象連理の枝を通じて愛を表現した曲でした。今度は、女唱の歌曲(カゴク、かきょく)の中で、「愛をしっかりと」という曲です。愛が深まると、時には手に負えないことがあるかも知れません。その愛を捨てて自由で気楽な人生を選択するか、最後まであきらめないかは個人の選択です。この歌に出る主人公は、自分の命より大事な愛を、決してあきらめることはないという選択をします。歌の中の主人公のように大変でも愛をあきらめない選択、または、愛を捨てて自由で気楽に生きる選択、みなさんはどちらを選択されるでしょうか。清い声でゆっくりと歌う女唱歌曲をお聞きになりながら、じっくりと考えてみても良さそうです。

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