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歴史

ソウルの都心を流れる川、清渓川の復活

2015-11-10

ソウルの都心を流れる川、清渓川の復活
高いビルが立ち並び、大勢の人と車が行き交うソウルの都心。いつもにぎやかなソウルの都心ですが、少し歩いていると、騒音の合間に川が流れる音が聞こえてきます。ソウルの都心、鐘路(チョンノ)区と中(チュン)区を横切って流れる川、清渓川(チョンゲチョン)です。

清渓川はソウルと歴史を共にしてきた川でした。1392年、朝鮮を建国した李成桂(イ・ソンゲ)は、漢陽(ハニャン)、現在のソウルに都を定めます。しかし、四方が山に囲まれた漢陽は、大雨が降ると雨水が比較的標高の低い東部に流れ込んで氾濫していました。朝鮮王朝3代目の王、太宗(テジョン)は度重なる洪水を防ぐため、即位して間もない1406年から水が流れやすいように川底を掘って水路の整備に取り掛かります。清渓川は下水道のような役割を果たし、雨が降ると、水量が増してきれいな水が流れ、いつもは城内から出る生活下水が流れ出る通路として使われていました。また、清渓川には、朝鮮時代の支配階級といえる両班(ヤンバン)や高い官職に就いていた官吏が住んでいた北村(プクチョン)と、官職に就けなかった両班(ヤンバン)や商人が多かった南村(ナムチョン)を結ぶ橋がたくさん架かっていました。清渓川の橋を中心に、小説を読んでくれる人、絵を描いて売ったりする人、物を売る人が集まり、市場を形成していました。また、陰暦の1月15日に清渓川の橋を踏むと、無病長寿すると信じられ、さまざまな民族遊戯も行われるなど、多彩な文化が交わり、共存していた地域でした。

しかし、日本による植民地支配時代になると清渓川の様子は一変します。貧しい暮らしに疲れ、ソウルへ上京してきた人たちが清渓川かいわいに集まるようになったのです。人が集まると、川は汚れはじめました。こうした状況は韓国戦争以降、ますます深刻化していきます。韓国戦争後、北韓から移ってきた人たちが清渓川一帯に掘っ立て小屋を建てて共同生活をはじめたのです。不潔な環境によって伝染病が発生し、火災の危険もありました。こうした問題を解決するため、韓国政府は1950年代から清渓川を覆う作業に取り掛かりました。

1955年、ソウル市は清渓川の上流にかかる橋、広通橋(クァントンギョ)一帯、135メートルほどをコンクリートで覆いかぶせる作業に取り掛かり、1958年からは都心を流れる全区間を覆う覆蓋工事が始まります。当時、清渓川の覆蓋工事は都市開発と近代化の象徴のように思われました。川をコンクリートの蓋で覆うことで都市の衛生問題と発展を同時に解決できると判断したのです。そして、1967年、深刻な都心の交通問題を解決するため、コンクリートで覆った川の上に高架道路を建設する工事も始まりました。9年後の1976年、清渓川高架道路が開通し、翌年の77年、馬場洞(マジャンドン)鉄橋区間を最後に清渓川の覆蓋工事が終わります。こうして、都心を流れていた清渓川は地面の下に姿を隠してしまいました。川沿いに並んでいた掘っ立て小屋は撤去され、都市の景観や衛生問題もある程度解決されました。

近代化の象徴となった清渓川の覆蓋工事。しかし、1990年代半ばを過ぎた頃から、清渓川を復元すべきだという声があがり始めます。歴史学者は清渓川に残された貴重な文化遺産をこれ以上、地面の中に放置してはならないと主張し、環境保護論者は窒息状態にある清渓川を復活させるべきだと声を高めました。さらに、2000年代に入ってからは、清渓川の上に建設された清渓高架道路に大きな穴が発見されるなど、安全問題も提起されるようになりました。国民の関心が高まると、2002年に実施されたソウル市長選挙では清渓川の復元問題が大きく注目されます。

この選挙で清渓川の復元を公約として打ち出した李明博(イ・ミョンバク)候補がソウル市長に当選し、清渓川の復元計画が具体化されていきました。そして、2003年7月1日、ついに清渓川を復元する工事が始まります。川を覆っていた清渓高架道路と清渓路が撤去され、
川の流れと川岸も復元されていきました。工事が始まって8ヶ月後、長い間、コンクリートで覆われていた川、清渓川が再び姿を現わします。そして、2005年10月1日、水が流れるようにする通水式が行われます。1958年に始まった覆蓋工事で姿を消していた都心の川が、47年ぶりに息を吹き返した瞬間でした。

復元された区間は全長5.84キロ。川に沿ってさまざまな草木が植えられ、25万2千平方メートルの広い緑地になりました。自然が息を吹き返すと、川魚や鳥ももどってきました。また、朝鮮時代当時、清渓川に架かっていた22の橋も復元され、殺風景な都会に変化をもたらしました。そして、今では、目まぐるしく動く都会の生活に自然の息吹きを吹き込んでくれる魅力的な空間になっています。

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