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歴史

観光大国へ向けた韓国の歩み

2015-12-08

観光大国へ向けた韓国の歩み
今から3年前の2012年11月21日。この日、韓国では、年間訪韓客数が初めて1千万人を突破したというニュースが報じられました。訪韓外国人1千万という数は、1960年代から韓国政府が目指してきた観光先進国の可能性を象徴する記録でした。

1950年に勃発し、3年に及んだ韓国戦争によって、ほとんどの産業基盤施設を失った韓国。当時、韓国政府は経済開発に必要な外貨を獲得するため、1961年を「韓国訪問の年」に指定するなど、積極的に外国人観光客の誘致に乗り出します。初めての「韓国訪問の年」となった1961年、韓国を訪れた外国人観光客はおよそ1万人でした。その数は年を追って増加し、10年後の1972年にはおよそ37万6千人になっています。10年間に24倍に増えたのです。特に、日本は韓国と地理的にも近く、1965年に国交が正常化されたこともあって、1970年代後半まで日本人観光客の数が大きな伸びを見せています。

1970年代に入って韓国は、各地域を代表する自然の風景を国立公園や道立公園に指定します。さらに、古代国家、新羅の都だった慶州(キョンジュ)に普門(ポムン)観光団地を作るなど、観光の国、韓国のイメージをアピールするための努力を続けていきました。その甲斐あって、1978年には訪韓外国人観光客数100万人を突破しています。

外国人観光客数が100万人を突破した1978年から10年が経った1988年。韓国はソウルオリンピックの開催をきっかけに、観光産業の新たな転換期を迎えます。この年はオリンピックの影響もあって、200万人以上の外国人観光客が韓国を訪れています。オリンピックが開かれる前まで、海外での韓国の認知度は極めて低いものでした。1988年のソウルオリンピックはそんな韓国の認知度を一気に高めました。オリンピックの開催が韓国を観光の目的地としてアピールする決定的な役割を果たしたといえます。実際に、1988年以降、韓国を訪れる外国人観光客は大きく増加しています。

ソウルオリンピックからさらに10年が経った1998年、韓国は通貨危機に見舞われていました。ところが韓国の通貨危機が外国人韓国客にとっては大きな魅力でした。通貨危機によってウォンの価値が急落したため、少ないお金で充実した観光を楽しむことができたのです。この年、400万人以上の外国人が韓国を訪れています。

2000年代に入ってからはアジアを中心に吹きはじめた「韓流」ブームが韓国観光を導きました。「韓流」の力で、2000年、韓国は5百万以上の外国人観光客を誘致しています。「韓流」ファンはドラマの撮影スポット、好きなスターの行きつけのレストランや店などを訪れ、2000年代の観光産業の中心となりました。「韓流」が観光産業に及ぼした影響は想像以上に大きく、2012年には1000万人、2014年には1400万人以上の外国人観光客が韓国を訪れています。21世紀に入った韓国は、韓流だけではなく、2002年に開かれた韓日ワールドカップでのベスト4入り、歌手「サイ」をはじめ、k-popスターの人気で世界を驚かせました。最近は韓国製のITやデジタル製品が海外市場で人気を集め、韓国に対する好奇心をあおいでいます。海外で韓国への関心が高まる中、韓国政府は観光ビザを簡素化したり、格安航空会社を増やしたりするなど、制度的な支援を惜しみませんでした。こうした努力が持続的な観光の需要につながっているのです。

時代の変化に伴って、観光のスタイルも変わってきました。2000年代に入ってからは、小さな旗を持ったガイドの後について観光スポットを練り歩く団体客は減り、オンラインで情報を集めて、一人で、あるいは気の合う仲間と興味のあるスポットを訪れる個別旅行の人気が高まっています。韓国観光を決めた理由はさまざまですが、2014年の調査によると、7割以上の観光客がショッピングを一番の理由に挙げています。特に、化粧品と香水、衣類は、韓国を訪れる外国人観光客に一番人気のあるショッピングアイテムです。おいしい食べ物も観光の楽しみの一つです。外国人に人気のある韓国の食べ物には、まずビビンパや焼き肉のプルゴギ、豚のばら肉を焼いて食べるサムギョプサルなど定番のメニューを挙げることができます。最近は韓国料理を作ってみる体験イベントや道ばたで食べる屋台のメニューも若い観光客に受けています。

自然と5千年の歴史が生み出した文化遺跡を見て回るのがやっとだった韓国旅行。単純だった韓国の観光は、時代とともに多様化し、今では魅力的な観光地として世界の人々にアピールしています。

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