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歴史

仏教経典の宝庫 海印寺「八万大蔵経」

2022-09-23

金曜ステーション


韓国南東部、大邱(テグ)からバスで2時間、慶尚南道陜川(ハプチョン)郡の加耶山国立公園の、人里離れた山深い渓谷にある海印寺(ヘインサ)は、新羅時代の802年創建と伝わる華厳宗の寺院だが、1995年、ユネスコの世界文化遺産に登録され、一躍注目を集めた。


世界文化遺産に登録された「高麗八万大蔵経」の版木を収めた保管庫「蔵経板殿」。版木8万1350枚は2007年、世界記憶遺産にも登録された。インドから中央アジアを経て中国に伝わった東伝(大乗)仏教、その漢訳仏典の集大成がここに収まっている。


現存する高麗八万大蔵経は、高麗国王の命令で1232年から16年の歳月をかけて国家事業として彫られた。元軍の侵攻で江華島に都を遷した当時の国王は、「大蔵都監」という役所を作り、経典を彫ることで仏の教えを称え、仏の力を借りて元軍を撃退しようと祈願した。


八万大蔵経は、しばらく江華島の寺に置かれたが、倭寇の度重なる侵入を受け、1398年、朝鮮初代国王太祖(李成桂)の時、海印寺に移された。国家守護を目的に彫られた八万大蔵経は、海岸から遠く離れた山の中で、人知れず保管されるほうが安全だと考えられた。


八万大蔵経はそれから600年あまり、蔵経板殿の中で一つも損傷することなく保存された。その蔵経板殿は、窓から入った風が内部で循環し、床は水はけと乾燥を考えて4層の土壌が敷き詰められるなど、計算しつくされた温度・湿度管理が施された設計となっていた。


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