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論点

ソウル中央地裁が元慰安婦の訴えを却下

2021-04-24

ニュース

ⓒYONHAP News

ソウル中央地方裁判所は21日、旧日本軍慰安婦の女性や遺族ら20人が日本政府を相手に損害賠償を求めた訴訟で、訴えを却下する判決を下しました。

ソウル中央地方裁判所は1月の別の原告団の裁判では、慰安婦の動員は「反人道的犯罪行為」で、主権国家は外国の裁判権には属さないという主権免除の適用対象ではないとして、日本政府に賠償を命じる判決を出していて、正反対の結論となりました。

却下とは、訴訟の要件を備えていないとして裁判所が実質的な判断に立ち入らず、いわゆる門前払いする場合を指します。

裁判所が原告の請求や申し立ての受付けを拒否したもので、原告敗訴の判決です。

ソウル中央地方裁判所は今回の判決では、「主権免除」の原則を適用しました。

主権免除は、国際慣習法の一つで、被告が主権国家または行政組織の場合、外国の裁判権から免除されるというものです。

原告側は今回の裁判でも、慰安婦の動員は「重大な反人道的犯罪行為」であり、主権免除は適用されないと主張しました。

また、主権免除を適用して訴えを却下したのは、憲法が規定する「国民の裁判を受ける権利」に反すると主張しています。

ソウル中央地方裁判所は原告側のこうした申し立てについて、国内に主権免除の範囲を具体的に定めた法律はないので国際慣習法に基づいて判断するのが適切だとしたうえで、第二次世界大戦中にナチスドイツによって強制労働を強いられた男性がドイツ政府に損害賠償を求めた訴訟で、ドイツの主権免除を認めた国際司法裁判所の判例を示し、日本政府の主権免除を認めるとしました。

ソウル中央地方裁判所は判決で、この問題は外交による解決のための努力が優先されることが望ましく、2015年の韓日合意に基づいて被害者を救済する方法はあると付け加えました。

2015年の韓日合意は、韓国政府が元慰安婦を支援するために設立する財団に日本政府が10億円を拠出し、被害者を救済するとしています。

ソウル中央地方裁判所は1月の判決では「主権免除」の原則を適用せず、日本政府に賠償を命じる判決を下し、韓日関係はさらに冷え込みました。

今回、正反対の判決が下されたことで、今後の韓国政府の対応に関心が寄せられています。

主権免除の原則を適用した今回の判決で韓国政府は日本との外交で負担をやや軽減するとみられますが、今回の判決が両国関係の急速な回復につながるという保証はありません。

韓国の最高裁にあたる大法院が日本企業に対して元徴用工らに賠償を命じた判決や日本政府による輸出管理強化措置、さらには東京電力福島第一原発の処理水問題まで加わり、両国間には慰安婦問題以外にも解決しなければならない懸案が山積しています。

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