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論点

労働市場改革が本格化

2022-12-17

ニュース

ⓒYONHAP News

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、未来労働市場研究会が12日に労働市場改革に向けた勧告案を公表したことを受けて、勧告案に基づいて政策の具体的な方向性を定めていくとの考えを表明しました。

未来労働市場研究会は労働市場改革に向けて取り組むべき課題などを論議する専門家会議です。

尹錫悦政権は韓国版「働き方改革」である労働市場改革を経済政策の主要課題の一つとして挙げています。

勧告案は、業種やそれぞれの企業の特性に合わせて時間外労働の管理・運用を柔軟にするとともに、年功序列型の給与体系を成果報酬型に転換することなどを提案しています。

労働時間について見ますと、労使が自発的に労働時間の短縮を目指すべきだとして、現在週12時間までと決められている時間外労働の制限を、週単位の管理をやめ、ひと月、四半期ごと、1年単位などから労使間の合意で自由に選択できるようにすべきだと提案しました。

また、従業員が自由に出勤時間や退勤時間を決めることができるフレックスタイム制について、現状では、勤務時間の変更によって1日8時間を超える業務を行った日や8時間に満たない日が出てきた場合、基本的にはその月内にトータルの勤務時間が所定の時間になるよう調整する必要がありますが、この「1か月以内」の調整期間を延長し、すべての業種で「3か月以内」に変更するよう提案しました。

1か月内に調整が必要となると、フレックス勤務による時間の過不足が月末に生じた場合、調整が難しいというという声や、業務が忙しい時期と暇な時期がかならずしも同じ月にあるわけではないため、1か月以内の調整ではフレックスタイム制度の良さが活かせないという指摘も出ています。


給与体系については、年齢や勤続年数に応じて昇進・昇給させる年功序列型の給与体系から、従業員の業績や成果を評価して賃金や役職などを決める成果報酬型の給与体系への転換を提案しました。

一方で、人事考課のシステムが十分に整っていない中小企業の社員や非正規労働者が正当な賃金を受け取ることができるよう、業績や成果を公平に評価するためのモデル賃金制度を政府が主導して開発し、普及させるべきだと指摘しました。

また、高齢者の継続雇用と若者の雇用創出をバランスよく実現できるよう、対策を講じることを提案しました。さらに、残業代を正確に集計しにくい業種や雇用形態において企業が残業代や休日出勤手当などを毎月固定で支給する包括賃金制については、企業による制度の乱用を防ぐため、勤労監督の強化なども提案しました。

勧告案は、未来労働市場研究会がおよそ5カ月間にわたって検討した結果をまとめたもので、尹錫悦政権の労働市場改革の青写真と言えます。

尹錫悦大統領は勧告案が公表された翌日、「勧告案に基づいて速やかに政府の立場をまとめ、労働弱者を保護するための改革を揺るぎなく進めていく」と述べました。

また、雇用労働部の李正植(イ・ジョンシク)長官は、持続可能で未来志向の労働市場を実現するために、賃金や勤労時間に関する法改正を準備するとして、労働市場の改革に意欲を示しました。

一方、今回の勧告案について、労働組合らは、賃金の実質的削減と長時間労働につながるとして強く反発、全面的な再検討を求め、経済団体は、全体の方向性には共感するとしながらも、個別の提案については修正する必要があるとしていて、今後の動きが注目されます。

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