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ⓒ YONHAP News

今月16日、大型書店ナンバー3のソウル文庫「バンディ&ルイス」が不渡りを出して倒産しました。ソウル文庫は教保文庫、永豊文庫につづく韓国で3番目に大きな書店で、「バンディ&ルイス」の名前で8つの店舗をソウルの江南やヨイドに構えていました。現在これらの8つの店舗はすべて営業を停止し、シャッターが下りた状態です。そのうちの1つヨイド店はKBSの近くに位置しています。

ソウル文庫は1988年にソウル江南区三成洞のKOEX地下のショッピングセンターにおよそ480坪規模の店舗を開いたのを契機に、ソウル市内あちこちに店舗を出してきました。歴史的には教保文庫が1981年創建で一番古く、二番目が今回倒産したソウル文庫、そして1992年に永豊文庫が誕生しました。

当時は国内の書店業界の黄金期でした。ミリオンセラーが数多く登場し、文化の中心、流行の中心に書店が位置していました。しかし2000年代に入りオンライン書店の登場により町の小さな書店はもちろん、繁華街に位置するような大型書店もどんどん経営が難しくなっていきます。人々は大型書店に足を運ぶのではなく、家で手軽にオンラインで書籍を手に入れるようになっていきます。

またアマゾンが「抗生剤、電気と共に人類の最も重要な発明品」だといって電子書籍リーダーを発売したのも14年前です。20,30代はモバイル機器に数万冊の本を取り込み、目で読むのではなく、耳で聞く電子書籍を好んでいます。大型書店が姿を消すほかない理由です。

そして大型書店の倒産は実は、書店だけの問題ではありません。今回の倒産により出版業界の受ける被害総額は180億ウォンに達すると推定されています。出版社の受ける被害規模が当初の予想を大きく上回っており、業界からは悲鳴が上がっています。ある出版関係者は

「ソウル文庫が経営に行き詰っているという話はよく知られていた話で、取引を停止した出版社も多いという。大きな出版社はこのような事態を事前に予想し、備えて来ただろうが、中小の出版社は被害をそのまま被ることになるだろう」と話しています。

尚、ソウル文庫は倒産前日に大韓出版文化協会などと協議し、出版社の被害を最小限度に抑えるために、ソウル文庫が保有している本を一日も早く出版社へ返品する約束をしたということです。しかし、ソウル文庫の物流在庫を保有している会社が物流費の清算を理由に出版社への返品に反対しており、今後の状況は流動的です。

韓国には日本でいう日販やトーハンのような大きな取次店が存在しません。全国2500社の出版社が3600余りの書店と直接に取引しています。したがって新刊書がでれば出版社の営業は全国の書店を回り、宣伝、配本、集金をしなければなりません。そのような点からもソウル文庫のような大型書店は出版社にとってはお得意さんだったのでしょう。危ないと聞いていてもすぐに本を回収できないような。

日本でも書店の経営が難しくなっているという話はよく聞きます。そんな中でも個性的な街の本屋が頑張っているという話もよく耳にします。東京代官山の蔦屋書店は韓国からもファンが訪れる名物書店だと言います。大型書店の倒産が出版業界全体にまで大きな影響を及ぼすことのないように、祈りたいものです。

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