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ライフスタイル

思い出弁当

2019-12-02

玄海灘に立つ虹

© Getty Images Bank

先日、日本からきた友人と一緒に食堂に入りました。お昼だったので軽く食べようということになり、「思い出弁当(추억의 도시락)」を注文しました。アルミの弁当箱に入って出てきたんですが、食べる前に振うようにと言われてびっくりしてしまいました。


日本でも昭和を懐かしむレトロな喫茶店とか食堂がありますが、韓国では1970年代、80年代を懐かしむ風潮があります。最初はその頃に高校生だった人々が同窓会などの時に昔の制服を着てみたり、あるいは今日話に出ている「思い出弁当」を食べたりしていました。それが現在では若者や観光客にも「思い出弁当」人気があるようです。

まずこの弁当の特徴はその弁当箱にあります。アルミの四角いお弁当箱です。韓国ではアルミの弁当箱、昔からよく使われています。そして保温弁当が登場した今でもプラスチックの弁当箱と同じくらいに人気があります。なぜかというと、おかずにキムチなど赤い香辛料を使ったものがあるからです。プラスチックだと長い間使っていると唐辛子の赤いのがお弁当に染み込んでしまい見た目も悪く、臭いも付きやすいからです。

さて「思い出弁当」中身はピンク色のソーセージ、卵焼き、ノリ、キムチなどの他にチャアチという韓国風の煮つけやナムルが入っていることもあります。どれも韓国のお弁当の典型的なメニューです。

そしてこのお弁当の一番の特徴は食べる前に蓋をしたままで良く振ることです。降るというのはそれこそ上下左右に振るのです。そんなことをしたらお弁当の中身がグチャグチャになるじゃないかと、思われるかもしれません。まさにグチャグチャになりますが、それが狙いです。振ることでお弁当の中身がピビンバに変身するのです。

日本は行楽弁当でも、愛妻弁当でも、子供たちのキャラ弁でもきれいに盛り付けるのがポイントですが、韓国の「思い出弁当」はその真逆を行きます。韓国人は一つ一つの具材の味を大切にするというよりも、全体の混じった濃いめの味が好きなのでお弁当にもそういう文化が反映しているのでしょう。

また70年代、80年代、家が貧しくてそれこそご飯にキムチやノリだけのお弁当を持ってきていた子供たちもいました。でも振ってしまえば、ソーセージや卵焼きまで入ったお金持ちの子の家のお弁当も、キムチとノリだけのお弁当も見た目は同じです。そんな思い出も込められたお弁当です。

皆さんも韓国に来たら一度召し上がってみてください。思い出弁当という名前の弁当は食堂、デパ地下、コンビニにもありますが、どうせならば食堂でアルミのお弁当箱に入ったものを振って召し上がってみてください。

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