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ライフスタイル

ノッポさんのコロナ禍韓日往復体験記 2

#マル秘社会面 l 2020-09-30

玄海灘に立つ虹

ⓒ Getty Images Bank

先週に引き続き、今週もノッポさんこと校閲委員の小須田さんのコロナ禍の韓日往復体験記をお送りします。先週は現在の仁川空港と成田空港の様子をご紹介しました。今週は日本と韓国で行われた、それぞれ2週間ずつの隔離期間の様子です。

ノッポさんは成田空港で厚生省のアプリをスマホにダウンロードしました。

陰性という結果通知の紙をもらったあとは、スマホのLINEに厚生労働省の帰国者フォローアップ窓口を「友だち登録」し、その登録を確認するためのカウンターに並び、担当者による正常にLINEが機能しているかの確認と、毎日1回、LINEを通じて健康状況を報告することという注意を受けました。

日本での隔離期間中のチェックは主にこのアプリを通じて行われました。

LINEで「ともだち登録」した厚生労働省の帰国者フォローアップ窓口からは2週間の自宅待機の期間中、毎日、アンケートと称する質問が送られてきて回答するように求められました。アンケートといっても「本人、および同居している家族に37.5度以上の発熱がある人はいるか?」「せき、のどの痛み、鼻水、鼻づまり、強いだるさ、息苦しさなどの症状はないか?」の2問に、はい、いいえで答えるだけ。決められた時間(10時から14時)にアンケートに答えなかった時と、LINEの不具合でデータ送信がうまくいかなかった時の2回は、地元の保健所から直接電話がかかってきて、体調について質問されました。

そして韓国の隔離期間との差についても書かれています。

日本では、入国から2週間は「自宅待機」を求められましたが、外出が全面的に禁止されたわけではなく、不要不急の外出を避けること、公共交通機関に乗る際はマスクを着用することが注意された程度です。これも後ほど記す韓国での対応とは大きく異なる点です。

では韓国での隔離の様子はどうだったのでしょうか。スマホにアプリをダウンロードするというのは、韓国も同じだったようです。

空港の通路のあちこちにはQRコードを示した看板が置かれ、そのQRコードをスマホで読み取るだけで、アプリのインストールができます。各国語での対応を選択でき、私の場合は日本語での説明に従って住所や電話番号の登録ができました。登録後、臨時カウンターに並び、アプリが正常に機能しているか、係官による動作確認が行われました。

この後、自宅に帰ってからいろいろと苦労されたようです。

翌日、空港でもらった「英文説明書」を改めて読んでみたところ、長期滞在の外国人は、入国時に感染症状が見られない場合は、そのまま空港から自宅に向かうことができ、強制的な隔離期間に入ることになるが、入国3日以内に地元の保健所で検査を受けるようにと書かれていた。どうやって保健所まで行けばいいのか悩んでいると、その日の昼過ぎ、保健所から電話があり、保健所の車が送り迎えするので検査を受けるように指示され、時間を指定されました。光明市保健所の屋外に設けられた臨時施設でPCR検査を受けたあと、「隔離通知書」などの文書を受け取りました。

この隔離通知書にはこんなことが書かれています。「感染病の予防および管理に関する法律」第79条の3の規定に基づき、自家(宅)隔離に違反した時には、「1年以内の懲役または1000万ウォン以下の罰金」に処するとし、違反事例としては「○隔離期間の誤認、○自宅近所のマート・コンビニ等での生活必需品の購入、銀行業務、○自宅近所の散歩、喫煙、ゴミ出し、○検査後、自宅帰路での経路逸脱」などが挙げられている。別の英文指示書では「体調悪化で病院や薬局に行くときは、まず保健所に連絡せよ」、「家族と一緒に暮らしていて、単独の部屋が確保できない場合も、保健所などに相談せよ」そして隔離期間が始まりました。

保健所では段ボールいっぱいの食糧と体温計、消毒液なども無料でもらいました。強制的に自宅隔離を求めるかぎり、これぐらいのことをしてくれるのは当たり前と思う反面、こんなことにも税金を使うのかと複雑な気持ちになりました。 

隔離期間中、毎日2回、通知音とともに自己診断の時間だという通知が来て、体温の記入と、37.5度以上の熱、せき、のどの痛み、息苦しさの有無についてそれぞれ「はい、いいえ」で答えることになっていました。

隔離期間中にはちょっとした事件が起きました。その時の緊迫した様子は。

怖かったのは、「位置確認ができない」というメッセージが警報音とともに何度か鳴り、そのあと「係の者がこれから自宅に行く」という通知が現れたことだった(19日午後3時)。普通に自宅にいて、一歩も外出していないにもかかわらずである。思い当たるのは、その日の朝、起きたときスマホの電源が入っていなかったことに気づいたことだった。寝る前に残り電池量が0%になっていたため、充電器に繋いで寝たのだが、その時点ですでに電源がoffになっていたことに朝まで気づかなかったのだ。しかし位置確認ができないという警告音がなったのは、朝起きてから7時間後のことで、とっさにはどういうことか分からなかった

結局自宅に誰かが来るということはなかったようですが、これを契機に監視されているという意識を強くもつようになった、ということです。最後に日本と韓国との2週間の隔離期間についてこんな感想を述べられています。

韓国の「自宅隔離命令」は、日本に比べてはるかに厳格であり、強制的な措置であることがわかる。日本の場合は、せいぜい「自宅待機要請」にすぎない。日本には韓国のような強制力をもつ「感染症予防管理法」がないということもあるが、仮に2週間も自宅から一歩も出さないなどの強制措置に踏み切ったら、その間の生活を補償する行政サービスや人権の問題を含め、政府批判や社会的議論が沸騰するのではないかとも思います。

先週と今週の2回にわたってノッポさんのコロナ禍の中での、貴重な韓日往復体験記をお送りしました。

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