自己啓発本『セイノの教え』
2024-03-21
韓国経済研究院がまじめに、誠実に働いているサラリーマンを泣かせる5大要因という報告書を出しました。いったい何が韓国のサラリーマンを泣かせているのでしょう。
その1.物価の上昇
この5年間に勤労者の平均月給は2015年の299万ウォンから2020年には352万7千ウォンに年平均3.4%値上がりしました。これに対して生鮮食品などの価格を示す、生鮮食品指数は同じ期間に3.9%増えました。
さらに最近急騰している長ネギ価格などの、季節的な要因なども含めると、その物価上昇の負担はさらに増します。また今後、ワクチン接種が進み各国が財政を拡大し、景気の回復が急速に進めば、さらなるインフレも予想されます。
その2.税金
韓国の勤労者が実際にだした税金のトータル金額が2014年には25兆4千億ウォンでしたが、2019年には41兆1千億ウォンと年平均10%以上増加しました。そして同じ期間に勤労者の所得総額は年平均5.3%の増加にとどまっています。つまりこの5年間で税金は所得の2倍の速度で増えていったということです。
その3.国民年金
サラリーマンは毎月月給から自動的に国民年金を支払っていますが、この国民年金が枯渇する日も遠くありません。
去年、国会予算政策処は国民年金の赤字転換を2040年、そして枯渇する時点を2054年だと予想しました。韓国人の平均寿命が83.3歳ですから、国民年金制度がこのままの体制で維持されると現在50歳以下の国民年金加入者は年金を一部しかもらえないことになり、32歳以下の勤労者は全くもらえなくなってしまいます。
その4,失業手当
失業手当の財政もやはり2018年から赤字になっています。そして赤字規模はコロナの影響もあり拡大を続け去年は4兆7千億ウォンにも達しました。
失業者が増えたのでこのように赤字が発生しているわけですが、制度の隙を悪用して失業手当を受け取ろうという勤労者も数多く存在するという指摘もでています。失業手当を5年間に3回以上申請した求職者を調べたところ2017年に比べて昨年は30%以上急増しました。
その5.住宅価格
最近5年間の全国のアパートの売買価格の上昇率は年平均7.4%でした。特にソウルは12.9%も値上がりしました。
去年の勤労者の平均月給352万ウォンを基準にすれば、ソウルで中間程度の価格のアパートを購入するには月給を1銭も使わずに21年9か月間、貯金しなくてはならないという計算になります。
そしてこのような現状は若者層にも影響を及ぼしています。いわゆる「ニート族」の増加を生んでいます。ニート族とは15歳から29歳までの青年層の中で未婚で、育児や進学準備、軍入隊のようなどうしようもない状況でないにもかかわらず、働かないでいる人々のことです。働かず、働く意志もなく、教育・雇用・訓練中のどこにも該当しない人々です。
働く意志はあっても、就職できていない失業者や将来に働くために教育・訓練を受けている就活生とは大きな違いがあります。そしてその数が去年は43万6千人でした。2016年に比べるとこの4年間で1.7倍も増加したことになります。
日本の明治時代の歌人、石川啄木の歌に「働けど働けど猶わが暮らし楽にならざりぢっと手を見る」というのがあります。日本の明治時代の歌が、なぜか21世紀の韓国のサラリーマンの心情にもぴったり当てはまるようです。
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