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ライフスタイル

第601話 未婚で出産は「正常でない家庭」?

#アジュンマの井戸端会議 l 2021-04-06

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News

韓国で活躍している日本人タレントのさゆり(本名:藤田小百合)さん(41歳)。去年11月、日本で、人工授精で男の子を産みました。未婚で子どもを産んだということで、韓国社会で大きな反響を呼びました。

さゆりさんは韓国で語学スクールに通っていた2007年、外国人出演者のトーク番組で韓国芸能界デビュー。様々なバラエティー番組に出演していた人気タレントです。付き合っていた男性がいたけれど結婚に関心がない方で、一方のさゆりさんは子どもを持ちたい願いが強かったため、年齢の関係もあり、未婚のまま一人で出産に踏み切ったということです。さゆりさんは、保守的な韓国社会で自らの選択は受け入れられないだろうと考え、韓国での活動はもうできないだろうと思ったそうですが、ネットでは彼女の行動は勇気あるものとして、激励と賛辞が相次ぎました。

そしてKBSのバラエティ番組『スーパーマンが帰ってきた』にさゆりさんと息子のぜん君が出演することが先月発表されました。この番組は、48時間ママ不在の状態でパパが子どもと一緒に過ごす様子を見せてくれるもので、愛くるしい子どもたちの姿で根強い人気があります。さゆりさんが一人で育児に奮闘する姿がテレビで見れるということで話題ですが、好意的な見方ばかりがあるわけではありません。さゆりさんのこの番組への出演が発表された翌日、KBS視聴者権益センターのネット上の掲示板には、さゆりさんの番組への出演を断固反対するという書き込みが掲載されました。そしてそのまた翌日には大統領府のホームページの掲示板に「未婚の出産を助長する地上波の放送をただちに中止」することを求める書き込みが掲載されました。番組の中止を求める書き込みの内容は、「韓国は少子化も深刻であるものの、結婚そのものをしようとしない雰囲気がつくられていることが問題だ」とした上で、「公共放送として、正しい家族観を示し、結婚と正常な出産を奨励するシステムと番組をつくらなくてはならない」と主張しています。また、「さゆりさんの出演は青少年や青年たちに、未婚のままで出産するという正常でない方式が正常であるかのように思われるおそれがある」と強調しています。

いずれの書き込みも趣旨は同じで、「正常でない家庭をテレビで放送しないでほしい」というもので、これら書き込みに賛同する人はそれぞれ3800人を超えました。いわゆる伝統的な家族観に反し、未婚の女性が一人で子どもを産み育てる家庭は「正常でない」という見方です。KBSの前では市民団体によって小百合さんの番組への出演を反対する集会も開かれています。KBS視聴者権益センターの書き込みでは、書き込みに賛同する人が1000人を超えた場合、KBSが公式の立場表明をすることになっており、KBSは立場をまとめているところですが、さゆりさんの降板はないだろうと予想されています。大統領府のホームページもKBSも、書き込みに賛同している人の数はそう多いとはいえませんが、いわゆる伝統的な家族の概念が崩れることに混乱を感じる人も韓国社会に少なからずいることがうかがえます。

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