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ライフスタイル

第606話 ノンバーバルパフォーマンスの今

#アジュンマの井戸端会議 l 2021-05-11

玄海灘に立つ虹


言葉を使わないパフォーマンスのノンバーバルパフォーマンスは、一時韓国の観光コンテンツの一つでした。韓国観光公社が2006年から、「コリア・イン・モーション(Korea in Motion)」というフェスティバルを開催し、ノンバーバルパフォーマンスを大々的に育成していたほどでした。「言葉の壁をなくしたことで、海外市場で競争力が生まれた」という評価もありました。


韓国のノンバーバルパフォーマンスでもっともよく知られているのは「NANTA(ナンタ)」ではないでしょうか。韓国の伝統リズムであるサムルノリをベースに厨房で道具や食材をたたくパフォーマンスの「NANTA(ナンタ)」は、1997年に初演され、2003年にはアメリカブロードウェーに進出、2008年から2009年にかけてはソウルの明洞や弘益大学(ホンデ)前、済州道に、2013年にはタイに専用の公演会場ができています。2014年には観客が延べ1000万人を突破し、2015年には中国の広州に専用の公演会場ができるほどの人気を誇っていましたが、2020年3月にすべての公演を中止しました。


ノンバーバルパフォーマンスが衰退したのは、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が致命的でしたが、コロナ以前にもすでに衰退の兆しは見られていました。韓国にやってくる外国人観光客が1000万人を突破した2012年を境に、観光客を対象にしたたくさんのノンバーバルパフォーマンスがつくられ、供給過剰になり、価格競争が激しくなったのです。それだけ作品の水準も低くなり、韓国国内の観客の関心は薄れていきました。


また、2016年に在韓米軍がTHAAD(サード;アメリカの最新の迎撃ミサイルシステム)を配備したことで中国との関係が悪化し、中国が韓流スターを国内の番組から締め出し、韓流コンテンツの禁止令を敷いたことも大きな要因です。外国からの観光客で一番大きな割合を占めていたのが中国からの観光客だったからです。当時、ノンバーバルパフォーマンスは中国市場をめぐり激しく競争していたときで、ノンバーバルパフォーマンスの制作会社は、中国によるリスクを減らそうと、東南アジア市場の開拓に目を向けていたところでした。新型コロナに見舞われたのはその矢先のことでした。


新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、外国人観光客は来なくなり、学校単位での団体観覧もなくなりました。ノンバーバルパフォーマンスの公演は現在ソウルでは全く行われていません。「インフィニティ―フライング」が慶州(キョンジュ)で自治体の支援を受けながら公演が行われています。新体操や器械体操、チアリーディング、マーシャルアーツ(武芸)、ビーボーイングが調和したエネルギッシュな公演で、韓国の歴史に出てくる花郎(ファラン:新羅の王の親衛隊)とトッケビ(韓国の鬼)が時間の扉を通じて21世紀の慶州の高校にやってきたことで展開されるエピソードを表現しています。またNANTAは4月初めから、済州の専用公演会場での上演が再開されています。「観客との相互作用(インタラクション)が重要な公演なので、あまり長く中断しているのも望ましくない」として、「韓国、日本、中国の三国だけでも観光客の往来が可能になれば」と、NANTAを制作したソン・スンファン氏は話しています。

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