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ライフスタイル

第610話 韓国の文化コンテンツと翻訳係

#アジュンマの井戸端会議 l 2021-06-08

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News

韓国の文化コンテンツの世界的成功の裏には、翻訳の力があることも無視できないのではないかと思われます。アイドルの楽曲はもちろんのこと、映画や文学でも、そのコンテンツを世界に広める大きな役割を担っています。


たとえば、KPOPでは、韓国国内のファンが活躍しています。推しのスターの新曲が出た場合、所属事務所が運営している、スターの公式アカウントとは別に、SNSなどに新曲の歌詞を速やかに外国語に翻訳しアップしているのです。歌詞だけでなく、Vログ(ビデオ+ブログ)と呼ばれる、スターが日常の姿をアップするビデオも多様な言語で翻訳され、各国のファンに伝わっています。


こうした面でかなりの波及力を持っているのが、今をときめくスーパーアイドルグループのBTSです。

「musun 129…너무 감사하고 보고 싶습니다」(なんてことだ。本当にありがとう。会いたいです)

6月2日未明、BTSの新曲、『Butter』がビルボードのシングルチャートHOT 100で1位になった直後、リーダーのRMが公式ファンコミュニティに書き込んだ感想です。この書き込みに、BTS翻訳係はただちに作業を始めました。BTS翻訳係とは、SNSで活発に活動する、翻訳担当のBTSファンのことです。musun 129は、韓国のバラエティー番組でコメディアンのカン・ホドンなどが流行させた言葉です。「いったいどういうこと?」「どうなってるの?」「なんてことだ」などと驚きを表すネットスラングで、英語圏のBTS翻訳係はこの言葉を「what is happening?」と訳した上で、詳しく解説しています。Musun(モソン)はmooseun(ムスン)の慶尚道の方言で、1、2、9という数字の読みが「なんてことだ」の「ことだ」に当たり、この二つを組み合わせた言葉だと説明しています。ちなみにツイッターの場合、翻訳係のなかではフォロワーが45万人、37万人を誇るアカウントもあります。


BTSはメンバー全員がソウル以外の地域の出身で、会話で普通に方言を使うことも多いのですが、ファンの間では、方言(dialect)という意味の英単語の代わりに「サトゥリ(satoori)」という韓国語が使われているということです。こうした例は他のKPOPアイドルのファンの間でもみることができます。たとえば、オッパ(お兄さん。年上の男性に対する、親しみを込めた呼び方)、オンニ(お姉さん。年上の女性に対する、親しみを込めた呼び方)、エギョ(愛嬌)など、韓国語がそのまま使われています。こうした言葉はアイドルと訓民正音(フンミンジョンウム)を合わせて「ドルミンジョンウム」とも呼ばれるようになっています。訓民正音とは世宗大王によって作られた当時のハングルの名称です。


1970~80年代にはポップスを聴きながら英語を学んだという人が多かったものです。日本のアニメが好きで日本語の勉強を始めたという人も少なくありませんでした。いまではKPOPや韓国ドラマの人気で、韓国語を習いたいという人が増えています。BTSをはじめとする韓国のアイドルグループやドラマ、映画の俳優たち、それに翻訳係の人たちの力で、韓国のコンテンツが世界に広がっています。 

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