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ライフスタイル

義警(義務警察)の廃止

#マル秘社会面 l 2021-06-30

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News

私が大学生の頃は学生運動真っ盛りの時代でした。大学のキャンパスは連日、学生のデモ隊と戦闘警察と呼ばれる警察が対置していました。その時によく聞いた話はつい先日まで一緒に勉強していた先輩が今は兵役で入隊し、戦闘警察として向こう側にいると。兄弟がデモ隊と、戦闘警察に分かれたという話も聞きました。

この戦闘警察が1983年に作戦戦闘警察と義務警察に別れ運営されるようになりました。その時に誕生した義務警察は交通、防犯の業務を主に行い、2013年に戦闘警察が廃止されてからは、それまで戦闘警察が担当していたデモ対応にも駆り出されるようになります。

ロウソク集会、そして去年の光化門集会でも大規模なデモ隊の周囲をバスで取り囲み、その前でデモ隊に対置するのが彼らの役目でした。

「たった5歩の間隔を置き、こちらは戦場、あちらは優雅な日常の瞬間だ」

初めてデモの現場に出動した義務警察官が、目の前のカフェでコーヒーを飲んでいる人々を見てつぶやいた文章です。このような義務警察官、デモの現場ではデモ隊の敵となり殴られそうになることもあります。

しかし一方で、義務警察は競争率が何十倍という羨望の対象でもあります。

その証拠に多くの芸能人が陸軍などに行く代わりに、義務警察に行くことを望んでいました。実際に義務警察で兵役に変えた芸能人には、ミュージカル俳優のチョ・スンウ、スーパージュニアのドンヘ、シウォン、東方神起のチャンミンらがいます。

最初から義務警察の人気があったわけではありません。2011年までは競争率も毎年2倍程度でした。しかしその後、人気が高まります。理由としては配置場所を第4希望まで出せる。つまり家の近くで勤務することもできるわけです。また週45時間勤務、週休2日制、週1回の外出、2か月に1度3泊4日の長期外泊が可能など、普通の軍隊に比べてはるかに自由な時間が多いこと。また就職難の今、除隊後に警察公務員への特別採用の道が開かれていることも人気の理由の一つでしょう。

そのため2016年には競争率が18倍にまで高まります。しかしムン・ジェイン政権になり軍の兵力不足などを理由に義務警察制度廃止の方針が出され、2018年から定員を減らし、2023年に完全廃止することが決まりました。2017年には2万5900人だった義務警察が今年5月には6300人にまで減りました。

またムン・ジェイン政権は義務警察制度廃止と公共の雇用81万人分の創設を公約に掲げました。つまり義警制度を廃止して警察の人員で充当するという意味です。警察関係者は「警察官機動隊を新設して庁舎防護業務を専門に担当する人員を採用し、義警削減に伴う業務の空白を代替する計画」だと話しています。

2023年5月の義務警察制度廃止を前に今年10-11月に入隊する最後の義務警察官329人の選抜が始まっています。その競争率は31.4倍です。一番、競争率が高かった時には50倍の年もありました。

義務警察になるには選抜試験があります。試験の特徴としては体力検査があることで、親戚の大学生は義務警察になるためにわざわざジムに通ってトレーニングを受けていました。腹筋運動1分に20回以上、腕立て伏せ1分に20回以上、立ち幅跳び160㎝以上などが試験内容です。その後面接がありますが、最近では公平さを保つために最終段階では抽選になるといいます。

戦闘警察が義務警察に代わり、そして廃止が決まりました。これで韓国のデモの歴史にもピリオドが打たれるのでしょうか。それとも新しい名前の鎮圧担当警察官がまた生まれるのでしょうか。

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