メニューへ 本文へ
Go Top

ライフスタイル

第613話 最近のトレンディドラマのタイトルはなぜ長い?

#アジュンマの井戸端会議 l 2021-06-29

玄海灘に立つ虹


ドラマのタイトルは、視聴者がたやすく口にしたり記憶したりできるように、短く、単語からなるものをつけるのが普通でした。たとえば、古いところだと『嫉妬』(1992、MBC)や『初恋』(1996~1997、KBS)、『冬のソナタ』(2002、KBS)などが挙げられます。最近ヒットしたドラマですと、『夫婦の世界』(2020、JTBC)、『ペントハウス』(2020~、SBS)、『愛の不時着』(2019~2020、tvN)、『ストーブリーグ』(2019~2020、SBS)などが挙げられるでしょう。それが最近では、タイトルがかなり長めの文章になっているドラマが目につきます。この傾向はトレンディドラマで特に顕著で、5月から放送されている『ある日私の家の玄関から滅亡が入ってきた』(tvN)、ウェブドラマの『だから俺はアンチと結婚した』(ネイバーTV)、『明日地球が滅びたらいいのに』(ネットフリックス)などが挙げられます。 

短めのタイトルが長い間慣行として定着してきた中であえて長いタイトルをつけたのは、また単語型ではなく文章型のこうしたタイトルが増えたのは、数多くのドラマの中から関心を引くためです。そのためには他のドラマと差別化して、できるだけ具体的にタイトルをつけなければならないという考え方からです。『明日地球が滅びたらいいのに』の制作サイドは「企画意図を強烈に示すため」、『ある日私の家の玄関から滅亡が入ってきた』は、「好奇心を持ってもらうため」、タイトルを長くしたといいます。 


他にも、2000年代初め、日本のライトノベルでタイトルの長いものが人気を集め、それが韓国のウェブトゥーンやウェブ小説に影響を与えたのではないかという見方もあります。たとえば、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』や『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』などの作品が、韓国で、『先輩、その口紅塗らないで』、『だから俺はアンチと結婚した』のようなタイトルの登場につながったというのです。 


トレンディドラマのメインターゲットであるミレニアル世代(20代前半から30代後半くらいの年齢の人々を指す)は、韓国では、長い言葉を何でも略して短く表現していることが多いです。この世代のすべてを支配していると言っても過言ではないインターネット社会の中では、何かが注目されるようになってもその関心は長続きせず、刹那的な傾向が深化しています。こうした傾向にあらがうようにむしろ長いタイトルのドラマが増えているのは、刹那の誘惑があふれている世の中への対抗心、余韻を求める気持ちの表れではないかとの分析もあります。作家のパク・センガンさんは、「1~2年ぐらい前から、『死にたいけどトッポッキは食べたい』など、主にエッセイを中心に長い文章型のタイトルが流行しており、タイトルの長い楽曲も登場している」として、「略語などで途切れた感情の流れを取り戻すための試み」だと解釈しています。 

おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >