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ライフスタイル

韓国の山火事事情

#マル秘社会面 l 2022-03-09

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News

大統領選挙の事前投票が行われた先週末でしたが、ニュースのトップは山火事のニュースでした。そしてこのニュースは今週まで続いています。

4日から始まった山火事は慶尚道と江原道を中心に何カ所にも及び、特に蔚珍郡で始まった山火事は、強風にあおられて近くにあるハンウル原子力発電所2号機と3号機近くの山、さらには江原道三陟市の液化天然ガス(LNG)のプラント近くにまで燃え広がり人々を心配させました。

これまでにソウル市の面積の3分の1程度にあたる2万ヘクタールが灰になってしまいました。中には3年前に山火事にあい、ようやく復旧したのにまた今回燃えてしまったという村もあるようです。

もともと韓国では山火事は全体の90%以上が例年3月から4月の春先に発生してきました。しかし今年は例外です。今年に入り2月28日までに発生した山火事の数は222件でこれは例年の平均112件の2倍に達する数字です。

山林庁の「山火事国家危機警報」もすでに1月14日に「関心」警報が、2月14日に「注意」が、そして2月28日に最高水準の「深刻」警報が出されています。

またこの10年間の韓国の山火事発生件数は2017年が692件で過去最多を記録し、2019年と2020年にも600件以上を維持しています。そして地域的には今回の山火事の舞台となっている慶尚北道と江原道が山火事発生件数の1位と2位を占めています。

山火事発生を左右するのは天候です。雪や雨が少なく、空気が乾燥し、そこに強風まで吹けば大きな山火事となる条件が全部そろいます。まさに今年がその条件にピッタリと当てはまりました。雪や雨が降らず、空気は乾燥しています。さらに山火事が起きた当時は風も強風が吹いていました。

最近では多くの科学者が山火事増加の根本的な原因は温暖化だと指摘します。地球環境の専門家は「気温が1.5度温暖化するのと、2度温暖化する状況を比べたときに2度温暖化では1.5度温暖化よりも山火事指数が2倍近く上昇する」と話しています。温暖化を1.5度水準で止められなければ山火事の危険性は2倍アップするということです。

急速な気候の変化は韓国の山火事の特徴まで変えようとしています。温暖化により冬が暖冬となり、雪の降雪量が減り、乾燥した天気が続くことで、これまでと違い冬の山火事が増えているのです。そうかといって一番山火事の多い、春先の山火事が減るわけでもありません。結果として山火事全体の発生率の増加につながっています。

ちなみに日本の過去5年間の山火事発生件数は年間およそ1200件です。しかし長期的に見ればだんだんと減少しています。

最後に韓国山林庁の発表している「山火事に会った時の国民行動要領」をご紹介しましょう。

1.山火事をみつけたら119番に連絡する

2.初期の小さい火なら上着や木の枝などを利用して叩いたり、上からかぶせたりして消す

3.山火事の規模が大きければ山火事の発生地域から遠く離れた安全な場所に避難する。その際には炎を背にして風上に向かって急いで避難する

4.逃げる余裕がなければ落ち葉や木の枝を取り除いて、顔を隠して炎が通り過ぎるまで腹ばいになっている。

山火事は風の流れる方向、風下に広がっていきます。そのため風の方向を考え山火事の進行経路から抜け出します。避難場所としては炎が通り過ぎた、すでに燃えた場所、低い場所、道路、岩の後ろなどを探します。山火事の起きている地点よりも高い場所は避けます。

そして何よりも大切なことは山火事を未然に防ぐことです。登山やハイキングの際にはくれぐれもタバコのポイ捨てなどはしないように気をつけましょう。今回の山火事の原因の一つが走行中の車から捨てられたタバコではないかと言われています。

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