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ライフスタイル

第657話 韓国歌謡界に1980年代のレトロの風が吹く

#アジュンマの井戸端会議 l 2022-05-31

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP NewsKPOP市場が好況を呈している中、韓国歌謡界には、シンセポップ(シンセサイザーポップの略)など、1980年代のレトロの風が吹いてきています。コロナ禍の長期化により心身が疲れた人たちが、過去の思い出に浸り、聴きやすく耳に心地よい音楽を好むようになったことで生じた現象だと分析されています。


たとえば、男性6人組のアイドルグループ、iKON(アイコン)は最近リリースしたミニアルバムのタイトル曲(『君という理由』)で、1980年代のポップスを再解釈した、シンセウェイブというジャンルを試みています(シンセウェイブとは1980年代のシンセ・ミュージックをはじめ、当時の映画やドラマ、ゲーム音楽などに影響を受けた電子音楽のこと)。アイコンは主にヒップホップを得意にしてきましたが、1年2か月ぶりにニューアルバムをリリースするにあたり、ヒップホップ以外も歌えることを示したかったとしています。


1980年代の感性はボーイズグループだけでなく、ガールズグループにとっても人気の的です。6人組のガールズグループ、ロケットパンチは、1980年代のディスコとユーロダンスをミックスした曲(「CHIQUITA」)を2月に、7人組のガールズクループ、チェリーブレットはレトロ風のシンセポップ(「Love In Space」)を3月にリリースしています。ロケットパンチが所属するウルリムエンターテインメントの関係者は、「コロナ禍の長期化により現実では疲労度が高いため、過去に戻りたいという願いを持つようになった人々がレトロ風の曲を聴くようになるだろうと考えた」と話しています。チェリーブレットの所属事務所のFNCエンターテインメントの関係者も、「1980年代の雰囲気をトレンドに合わせて再解釈した曲で、シンセサイザーサウンドでレトロな感じを表現した」として、「最近流行しているジャンルの一つであるレトロポップで、音楽市場の流れに合わせてファンにより親しみを持ってもらえる契機を作りたかった」と話しています。


今年でデビュー22年を迎える歌手のPSY(サイ)は、4月にリリースした9番目のアルバムで、MAMAMOOのメンバーのファサと、1987年に発表されたソウルファミリーの『今はもう』を再解釈して歌っています。ソウルファミリーのこの曲も、実は「When the Rain Begins to Fall」(1984)のリメイク曲です。PSYは、「幼い時にソウルファミリーの「今はもう」を聴いて、大人になって歌手になったらこの曲を女性のボーカリストと一緒に歌ってみたいと思った」と話しています。新しいアルバムを通じて長い間温めてきたプロジェクトを実行に移せたとして、この曲に愛着を示しています。


ただ、興味深いのは、PSY以外にはアイコンも、チェリーブレットも、ロケットパンチも、直接1980年代を経験した人はいないという点です。大衆音楽評論家のチョン・ミンジェさんは、「1980年代を知らない世代にとっては、シンセポップやディスコ、ニューウェイブのような音楽は興味深く新鮮に聴こえるだろう」として、「こうしたジャンルはクラシカルなロックやブルースより大衆的だという強みもある」と話します。また「韓国の大衆音楽は海外のポップ市場のトレンドに敏感なところがある」として、「ザ・ウィークエンドやドゥア・リパなどを通じて、海外でも1980年代の音楽が流行している影響もあるのだろう」と話しています。

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