メニューへ 本文へ
Go Top

ⓒ YONHAP News

鉱山の落盤事故から奇跡の生還と言えば、映画にもなった事故から69日後に33人の作業員全員が助かったチリの鉱山での事故が有名ですが、そんな奇跡の生還が韓国でも起きました。ニュースでもお伝えしましたが、 韓国の東部、奉化(ポンファ)の亜鉛鉱山で坑道が崩壊し、坑道内に閉じ込められていた作業員2人が9日ぶりに救助されました。  

ユン・ソンニョル大統領が「悲しみに陥った大韓民国に新しい希望を与えてくださいました。ご回復を祈ります」というカードまで送ったほど、梨泰院の転倒事故で悲しみに包まれていた韓国にとって久しぶりの明るいニュースでした。


医学界では極限の状況での人間の生存能力を3・3・3の法則で説明します。空気は3分、水は3日、食料は3週間以内に供給されないと人間は死亡するという意味です。鉱山事故の場合は、爆発・崩壊・火災の後に有毒ガスの発生や坑道の浸水などの危険が続きます。さらに事故現場は地下数百メートルです。

今回の事故も二人の作業員が閉じ込められていたのは地下190mの坑道でした。しかしここで3・3・3の法則を地で行くような奇跡が起きました。まず空気は、孤立地点が空気が通る構造でした。また炭鉱ではなく、亜鉛鉱山だったので坑道の中で火を焚くこともできました。寒さは周辺にあったビニールで風よけのテントを作りその中に入って、体温維持のために焚火をして暖を取っていました。そして天井から落ちてくる地下水をためて飲んでいたため、水も摂取できました。


そして今回の奇跡の生還の一番の秘訣が韓国でコーヒーミックスと呼ばれているインスタントコーヒーでした。コーヒーミックスはステックタイプになっており1本の中にコーヒー、砂糖、ミルクなどが入っています。熱いお湯で溶かせば、甘いコーヒーを飲むことができます。50代と60代の二人の作業員は持っていた30本のコーヒーミックスを3日に分けて食べたそうです。作業員が持っていたマキシム・モカゴールド1本は約50カロリーです。そして生存に欠かせない炭水化物が9グラム、脂肪が1.6グラム、糖類が6グラム含まれています。これは成人男女の一日平均摂取カロリー(2000カロリー前後)よりは遥かに少ないものの、体内の臓器が活動するのに必要な最小限の栄養素が含まれていると言えます。


また今回の奇跡の生還を可能にした理由を他の視点から分析している人もいます。まず最初の要因が50代と60代の作業員は二人ともベテランで、普段から熟知していた事故の時のマニュアル通りに行動したことです。マニュアルには「水の流れる方向に避難する」「空気が入ってくる方向に避難する」「周囲に掴むことのできるものがあれば空間を利用する」とあり、二人はその通りに行動しました。

また孤立し避難していた地点が比較的大きな空間だったことも幸いでした。ここは坑道と坑道が出会う地点でした。二人は事故後じっとしていたのではなく生存のために最適な地点を探し求めたのだということです。

生存に対する強い意志が何よりも大きな力となりました。作業員の息子さんの話によれば「父は孤立してから3日程度は坑道内部を歩き回り脱出口がないか探してみたそうです。すべての道がふさがっていることを知ると二人でつるはしで壁を掘ろうと試みたようです」「父は10メートルほど壁を掘ったと言っていますが現実的にそれは不可能なので穴をあけた程度のようです」

二人が同じ空間にいたことも心理的に安定できた要因となりました。対話をし、互いに激励しながら脱出方法を探し、最後まで希望を失いませんでした。

また暗闇の中の光、ヘルメットにつけたヘッドライトも生存の助けになりました。救出後 「頭につけたヘッドライトのバッテリーが切れてしまうのが一番怖かった」「救出された日に、ライトのバッテリーが切れそうになっていた」と話していました。


ベテラン、コーヒーミックス、生存の意志、同僚、そして光があったことが生存につながったと専門家は分析しています。そして今、人々はこの事故からの教訓として、もしもの時のためにコーヒーミックスを買い置くようになりました。

おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >