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ライフスタイル

公務員人気が下落

#マル秘社会面 l 2023-04-03

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News

日本では第一生命保険が発表した将来なりたい職業の2022年度のランキングで、小中高校生の男子と中高校生の女子で3年連続「会社員」がトップを占めました。そして公務員も中高校生では男女共にトップ3に入っていました。この結果について第一生命は、回答者の両親の職業に会社員が多く、身近な存在として意識された可能性があると分析しています。

では韓国ではどうでしょう。ソウルの地下鉄1号線ノリャンジン駅の周辺には昔からたくさんの予備校が軒を並べています。そして予備校の種類も大学入試だけではなく、公務員試験、資格試験の予備校もたくさんあります。特に数年前までは警察官を含めた各種公務員試験を目指す人々で一日中賑わっていました。ところが最近はすっかり学生数が減ってしまったといいます。どうしたのでしょう。

韓国の若い世代の間で公務員の人気が落ち、公務員試験を準備する人も減り、さらに公務員の中で民間企業に移る人が増えているといいます。「神の職場」と言われていた公務員の人気に陰りが出てきたことは統計にも表れています。統計庁の「社会調査結果」によれば2009年には13-34歳の「なりたい職業」は1位が国家機関で、2位が「仕事は公務員、待遇は民間」と言われる公共機関、3位が大企業でした。しかし2021年の調査では1位が大企業、2位が公共機関、3位が国家機関でした。国家公務員、地方公務員に関係なく、すべての公務員試験の競争率も下がっています。公務員試験の中で一番下の9級公務員試験の競争率が2011年には93倍だったのが、今年は22倍に下がってしまいました。それは7級、5級の公務員試験でも同様で、競争率は下がり、7級公務員試験では今年1979年以来の歴代最低の競争率を記録しました。

また次官候補と言われていたエース官僚が民間の大企業に移るなど公務員を退職して民間に移る人も増えています。特に30,40代の公務員の離職率が増えています。企画財政部の課長は「政策の最終決定権が国会に移りやる気が失せてしまった。昔のように定年退職した後に行く先も多くはない。同僚が他に移ると言っても驚くことはなく、むしろ良い条件の会社ならば喜んであげる雰囲気だ」と最近の公務員社会の雰囲気を語ります。

公務員の人気が落ちている理由はいろいろですが、やはり薄給と言われる給与の低さが大きいようです。9級公務員の税金控除前の月給が177万ウォン。各種手当はつくものの、年金などが控除されるため手取りが少ないのは事実です。もちろん大企業の初任給よりも遥かに少ない金額です。

またMZ世代(1980年代初めから2000年代初めに生まれた世代)が職場に求める価値も影響しているようです。MZ世代は職場での成長可能性を非常に重視しています。行政学科の教授は「MZ世代は終身雇用の安定よりもチャレンジを通じて何かをやり遂げたいという要求が大きい。企業文化も年功序列よりも自由な雰囲気を好むため、公務員組織はいろいろな側面からMZ世代の価値観とは合わない」と指摘します。

MZ世代の職場に求める価値観は、最近行われた現代自動車の生産職採用に多くの志願者が集まったことからも確認できます。現代自動車の生産職は勤務地は地方ですが勤務時間はきっちり守られ、さらに平均給与が年収1億ウォンに迫ります。インターネットには公務員と現代自動車の生産職を比較した内容の書き込みも多く見られ、若者たちはブルーカラー、肉体労働でも公務員より良いという結論に達したようです。ただ専門家の中にはこういう意見もあります。「経済が国家から民間主導に移ったことで、加熱していた公務員人気が冷めたのはむしろ正常な結果だと言える。ただ昔ほどではないにしても依然として公務員は人気のある職業だ。公務員も民間企業のように成果に伴うインセンティブが得られるようにすべきだ」と話します。

MZ世代にとって公務員は魅力のない職業になっているようです。しかしそれでも一番下の9級公務員でも試験の倍率は22倍です。受かるのは大変です。

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