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ライフスタイル

第707話 インスタントラーメン誕生60年とビビム麵について

#アジュンマの井戸端会議 l 2023-05-09

玄海灘に立つ虹

ⓒ Getty Images Bank韓国で初めてのインスタントラーメンは1963年に誕生した「サミャンラーメン」です。

サミャン食品のチョン・ジュンユン会長が日本に出張に行った時に食べたインスタントラーメンがきっかけでした。日本の明星食品で製造技術を学び、政府を説得して5万ドルの支援を受け、明星食品から2台の機械を持って来ました。それが1961年のことで、1963年にラーメンの生産が始まり、今年で60年になります。


当時は凶作続きでお米が足りず、政府がご飯に麦などを混ぜることや、ご飯でなく小麦粉でつくった麺類などを食べるよう国民に呼びかけていた頃でした。そうした時期だったので、インスタントラーメンの生産と消費は一気に増えました。当時のインスタントラーメンは日本のラーメンと同じくチキンベースのスープでしたが、今よく見られる赤いスープの辛いラーメンになったのは、サミャン食品にかかってきた、大統領府からの電話が決定的なきっかけになったということです。1966年のことでした。電話に出たパク・チョンヒ大統領(当時)が、ラーメンに唐辛子の粉を少し加えたらどうかと提案してきたのだそうです。「韓国人は辛い汁ものが好きだから」という理由からでした。このエピソードはサミャン食品の社史にも載っている有名なものなのだそうです。


韓国では1991年から辛ラーメン(ノンシム)が売り上げ首位を守っていますが、スープがあるラーメンばかりではありません。特に夏場にはスープのない「ビビム麺」が人気です。混ぜるラーメンという意味で、「ビビムクッス(混ぜ素麺)を手っ取り早くつくって食べられないものか」というアイデアが、韓国最初のビビム麺の始まりでした。ビビム麺は、ゆでた麺を冷水に取って洗い、水気を切って、甘辛いタレを絡めていただくもので、熱湯に粉末スープと麺を入れてつくるそれまでのラーメンに慣れていた人たちにとって、一風変わった斬新な食べ物として受け入れられました。1984年にパルト(当時の韓国ヤクルト)が発売したビビム麺は、この39年の間に17億袋が売れています。2020年、2021年、そして今年、他のメーカーからも相次いでビビム麺が発売されました。パルトが独走していた期間が長く、ビビム麺の代名詞のようになっているだけに、他のメーカーの追随は容易ではない状況です。


もう一つ、ビビムクッスだけでなくチョル麺もインスタントラーメンとして食べられています。チョル麺にはビビム麺と似たようなタレが使われるので味は似ており、カテゴリーとしては同じビビム麺になりますが、チョル麺の麺のほうがもう少し太く、しこしこしています(「チョル」という名はチョルギッ(しこしこ)という言葉から由来するものと思われます)。あと、ビビムクッスもチョル麺も韓国の粉もの屋さんで食べられますが、チョル麺のほうがキャベツの千切りなどの野菜がたっぷりのっかっているイメージです。


ビビム麺は気温が上がり暖かくなる4月頃から売り上げが増え始め、7月~8月にピークを迎えます。韓国農水産食品流通公社の統計によりますと、2014年700億ウォンに満たなかった韓国国内のビビム麺の市場規模は、去年1500億ウォンを上回り、今年は1800億ウォンに達するものと予想されています。国内のインスタントラーメン全体の市場はこの10年間そう大きく成長することもなく2兆ウォン台にとどまっている半面、ビビム麺の市場は急激に成長しているため、ラーメンメーカーはいずれも、ビビム麺の開発や生産、販売に注力しています。

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